にゃべ♪の日々詩集

旅する花粉ちゃん

ああ もうそんな季節

窓をしっかり閉めなくちゃ

ドアをしっかり閉めなくちゃ

外の景色は普段と何も変わらない風で

この鼻水は風邪じゃなかったんだね

このくしゃみは風邪じゃなかったんだね

額に手を当てても発熱は感じない

飲むのは風邪薬じゃないんだね

はくしょっ はくしょっ

はははははっ、くしょっっ！

どうしても一回じゃ止まらない

どうにもこうにも、止まりゃしない

目が痒くって 目が痒くって

何度も何度も目をこすってしまうよ

それがよくないと分かっているのに

気がついたら目をこすっているよ

ずずーっ ずずずーっ

油断してたらまぬけ顔

みずっぱなの大洪水

テッシュが無制限に消えていく

ついに来たんだね

もう春は始まっていたんだね

杉は何も悪くないけれど

反応しちゃう体質が悪いんだけど

遠く遠く親元を離れて

ついに僕の所までやって来たんだね

風に乗って気ままな旅は楽しかったかい

たまに故郷が恋しくなったりはしないかい

目に見えない小さな小さな来訪者

君たち、また断りもなく遊びにきちゃうんだ

今日はとても忙しいって言ったでしょ

構ってあげられないって分かってよ

はくしょっ はくしょっ

はははっくしょいっっ！

こらこら暴れるでないよ

君をキライな訳じゃないんだからさ

ずずずずるー ずずずずーっ

鼻の中で遊んじゃダメだってば

今日は大事な用事があるんだから

ちょっとはこっちの都合も考えてよ

花粉ちゃんは我侭で

こっちの言う事聞きゃあしない

本当は仲良くもしたいけれど

どうにもこうにもたまりません

こーうなったらやっちゃうぞ

マスクにメガネにオクスリだ

これでしばらく大丈夫

外見まるで病人だけどね

風に乗って花粉ちゃん

昔は誰にも悪さはしなかった

それは杉たちが増えたから？

それとも人間が弱くなったから？

答えは多分両方で

うまく折り合いをつけて今日も行く

景色は何も変わらないように見えて

ゆっくりゆっくり本当の春へ近付いていく