空舞う黄砂

遠く遠く旅してきたね

はるか彼方から海を越えてまで

そうして景色を薄く薄く染めていく

まるで初めからそうだったみたいに


何の前触れもなくあなたは現れた

朝目が覚めた時にはもう

天気予報の言う通りだったね

まるで夢の国に来たみたいだね


遠くの山々朧げに

まるで仙人の住む所

そこは現実であって現実でなく

不思議な生き物たちが跋扈する


時間の止まった幻に

いつか辿り付く事は出来るかな

全ての現象を飲み込んで

それでもカタチを止めている


そう、本当は全て幻

辿り付いてみればそこは当たり前の風景

小さな粒子たちの他愛もない悪戯

振り返ればさっきまで居た場所が霞んでる


遠く遠く旅をしてきて

重たいものは途中で戦線離脱して

厳選された身軽なものたちだけが

この国で活躍する事を許される


あんまり薄くなったから

決して黄色くは見えないけれど

よくここまで飛んできたね

不思議の景色を見せてくれたね


春の朧の山景色

ひとときの不思議を僕らに見せて

君たちはこれから何処に行くの?

風に舞ってまだ冒険は始まったばかりなの?


黄砂の旅は何処まで続く

風に乗ればこの星の裏側にだって届くよ

TVでしか見た事のない景色だって

仙人の住む幻の桃源郷にだってきっと

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