いつもの月夜の物語

全てが地球の影に包まれて

僕らは影絵の中の主人公

不思議の物語への入り口が

あちこちで怪しげに僕らを待ち構えてる


街灯が照らすスポットライト

マント姿の猫が踊ってる

魔女たちとの舞踏会の準備に余念がないね

そっと気付かないふりをして通り過ぎよう


ゆうらゆうら見上げていたら

人工衛星が星たちの真似してる

そんなに早く動いたらばれちゃうよ

秘密の工場も警戒するよ


占い師は今宵の夜に

どんな結果を導き出すの

深々と夜の精霊がみんなの心を鎮めてる

ほらね 一人一人に違う神託が降りてくるよ


僕らずっと見られてる

大きな大きな視線を感じてる

誰かなって振り返ってみたけれど

見えないあなたに僕らが気付くはずもなく


全ての色彩の消えたこんな景色は

まるで心の中と同じ景色だから

ただ心を静かにするだけで

普段聞こえない胸の内からの声も聞こえてきそう


満天に広がる星空を見てさ

丁度良い場所に腰掛けてさ

一人特別席での天然プラネタリウム

流れ星は滅多に見られないけれど


雲に隠れていたお月様が

出番の来たトップスターのように

いよいよといよいよと現れました

まん丸顔でやさしく笑って


しらしらと透明なベールが降りてくる

それは純粋な銀色の月のしずく

世界中薄く白くまぶされて

今僕の心に語りかけてくるのは誰


何の音もしないこんな銀色世界に

ゆっくり体を浸して月光浴

昔から変わらないこの完成された景色に

風が不思議な音色を響かせて通り過ぎていきました

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