心の奥の古いアルバム

遠い昔のシネマみたいに

セピア色になった様々な思い出

普段は全く気にしないのに

ふと突然浮かぶものだから


ああ

あの日

高い高い空を見てた

鯉のぼりを眺めてた

眩しい5月の風


古い古い風景は今よりずっと不便で

今よりずっとずっと暖かい気がした

コンビニなんてものはなくて

近所のスーパーが賑わっていて


昔は…て言うか同級生は沢山居て

夏ともなれば裏の海はいつも子供たちが泳いでた

飛び込み台を少し沖に設置して

毎日毎日飛び込んだものだった


今も夏は暑いけれど

子供もそれなりに居るけれど

夏の海は静か

子供の居ない夏の海は淋しい

みんなどこに行っているの


お祭りも随分淋しくなったし

小学校のクラスも減った

こんな事普段は気にも留めないんだけど

枯葉の散る季節は何故だか理由もなくそんな事を


はらはらと

はらはらと

落ちる葉っぱに魅せられて

落ちる夕陽に魅せられて


紅い紅い景色は

人を別世界に連れて行ってくれるね

たまにはこんな風なのもいい

そう、たまになら


通いなれた道

幼い頃からずっと通っている

思い出のカケラがそこかしこ

風に吹かれるたびにこぼれだすよ


山道で一人沈む夕陽を眺めてた

大きい大きい夕陽を眺めてた

あの頃願った夢は叶ってないけれど

あの頃と同じ夕陽を今も眺めてる

昔と同じように海は静かに黙って笑ってる


冬が来る

いつも決まって冬は来る

積もる事のない雪がまたはらはらと空を舞う

何で昔は年中半ズボンで大丈夫だったんだろう


この季節の思い出は冬休みとマラソン大会

特にマラソンはイヤだった

大人になって良かった事のひとつは

このマラソンをしなくて済むようになった事かな


アルバムの奥に封じ込められた沢山の記憶

まず開かれる事のない沢山の思い出

心の奥にはいつまでもストックされているんだね

古い写真を見るだけですぐにその頃を思い出せるんだから

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