夜の物語

静かな静かな静かな夜に

降ってくる降ってくる満ちてくる

透明で純粋な何か


街灯の光の届かない場所で

全てが寝静まった気配の中で

じんわりと感じてる

時間の粒が肌からゆっくり吸収されるみたい


冷えた風が頬を刺していく

悪戯好きはすぐにどこかに去っていく

木の葉のざわめく音が置き土産

月がカサをさしている


見えない何かを感じていたら

ヘッドライトが法定速度を越えて走り去っていく

点滅信号を越えて夜を駆けていく

未だに爆音が耳に残ってる

彼らには彼らの夜がある


それから後はまた空虚なアスファルト

ゆっくりと歩く僕

まるで世界に他に誰も居ないみたいに


こんな夜にも元気なコンビニと自動販売機

どこか似ているね

今じゃ機械の方がおしゃべりだったりするね

お弁当温めますか?


ここらは田舎だから

家も店もまばらだから

本当の夜がまだ少しだけ残ってる

ひょっこり妖怪が顔を出さないかな

山の奥の狐や狸でもいいんだけど


ゆっくり心を落ち着けるには

やっぱり真昼の散歩より深夜の散歩

他に通る人も居ないこんな真夜中

心の中でひとりごとばっかり喋ります


様々な物語が胸の奥で渦巻いている

きっとね一晩寝ちゃうと忘れちゃうんだ

眠れないからこうして歩いてる

このままどこか知らない所にまでたどり着けたらいいのに

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