童貞社会人。

ミヤザワユウ。

第1話 自己紹介

『童貞』・・・まだ異性と肉体関係をもったことがないこと。また、その人。ふつう男性にいう。


このページを開くのは何回目になるだろうか。辞書で『童貞』という言葉はすぐに引けるようになっていた。僕は童貞だ。まだSEXをしたことがない。ひとり悩んでは、おもむろに辞書を取り出してきてこの言葉を眺めている。なんで僕は童貞なんだろう、したいしたいSEXがしたい。その欲求はちゃんとある。日々オ〇ニーをしてごまかしている。

今まで童貞を失うチャンスがなかったわけではない。遡ること数年前、まだ学生だったときに付き合っていた彼女がいた。その彼女が人生で唯一付き合ってくれた女性だ。今思い返すと正式に付き合っていたわけではなかったのだが…… 当時どうやって付き合ったかというと、告白されたのだ。


高校生の時、彼女はクラスでは大人しいほうだった。ある日彼女に呼び出された。

「佐々木さん、どうしたの?」

僕はいきなりの呼び出しに何の疑問を抱かずに呼び出された場所に行って聞いた。

「ごめんね、いきなり呼び出して。えーっと・・・。」

佐々木さんは下を向きながら、恥ずかしそうに話している。佐々木さんの反応に不思議に思いながら、話が終わるのを待った。

「えっと、木戸君・・・好きです。付き合ってください。」

「え?」

僕は驚きのあまり聞き返してしまった。僕と佐々木さんはクラスが同じだけでそんなに仲良い方ではなかった。何回か話したことがあるただのクラスメイトだ。

「いきなり、ごめんなさい。ダメかな・・・?」

「いや、そんなことないよ。うれしいよ。僕も好きだよ!」

僕は今まで告白される経験なんてもちろんなかったので、焦って返事をしてしまった。

「よかった、ありがとう。」

こうして佐々木さんに呼び出されて告白されることで僕たちは付き合うことになったのだった。

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