見えない力
@tom9630
第1話ボルボ
生きているとたくさんの分岐点に悩まされる。
後の幸せと後悔の質と量で天秤の傾き加減が変わる。
その時々での分岐点の選択を、もしもシリーズよろしく妄想つまみにグラスを傾け、次の分岐点までに心の錆びを清算する努力をする。
桜も散り、浮き足立つ新入生や新社会人も落ち着き始め、梅雨に向かうこの一瞬の季節がとても好きだ。理由も無く何と無くだが今夜は気分がいい。
いつもと同じ変わらぬ夜を過ごし、また変わらぬ日が来ることを願って、ハードボイルド気取りにグラスの中のワイルドターキーとロックアイスを通すバーの照明によるカウンターテーブルの輝きに酔っていた。
この日はカウンターで私の隣2つ席を空け、いかにも友達の結婚式帰りという出で立ちの女性二人組が、静かに語りながらカクテルを飲んでいた。
向こう側の女性はコリンズグラス、手前の女性がゴブレット。グラスの形から勝手に推測すると手前の女性はあまりアルコールに強いタイプでは無いらしい。
他に客はサラリーマンには見えないスーツ姿の二人組が入り口そばのボックスで瓶のままビールを飲んでいた。
会話は聞こえないが、どうやらカウンターの女性に声をかけようかの相談でもしてるのか、気付かれないように顔の向きを変えず何度も視線を向けている。
この瞬間だけは無宗教の私もナンパの失敗を思い付く限りの神仏に祈願しながら、グラスに残ったバーボンを一息に煽りマスターの吉田に会計を促す。
万が一何かしら揉めたとしても、このマスターなら女性達に危険が及ぶ事も無く納めてくれるだろう。
すると向こう側の女性が声をかけてきた。
…『もうお帰りになられるんですか?』
手前の女性は友人のいきなりの行動にびっくりした顔をしている。
私は照れ隠しもあり
私『低所得なんで、深酒はせず明日も頑張って稼がないといけないんですよ。』必要最低限の愛想笑いを添えて答えた。
すると彼女は
…『ご馳走しますので一杯だけ付き合って頂けませんか?』
私の回答を待たずマスターの吉田にワイルドターキーを注文した。
渋々と言うわけでは無いが、何かしら理由がありそうなので、一先ず話を聞くだけでただ酒にありつけるならと、卑しい気持ち半分いやらしい気持ち四分の一、残りの四分の一はどこか腑に落ちないモヤモヤした気持ちを残しつつ、今度は1つ席を空けて再び腰を下ろした。
私『それじゃ一杯だけご馳走になります。』
すると手前の女性が、小声で
…『突然すみません。向こうのテーブルの方達が前の店からついて来てたみたいなんで…勘違いかも知れないですけど…』
私『あっ、そーゆー事でしたか。』
私は微量の笑顔を解き、入り口そばのボックスの男達に視線を送った。
風体を観察すると、ドレスシャツの袖口から指までタトゥー、耳には数個のピアスホール。やっぱりスーツ姿の不釣り合いな二人組だ。
向こうも私の視線に気付き、気配を殺そうと間抜けな会話のボリュームを上げ、いかにもこちら側には興味がなさそうな空気を作り出そうとし始めた。
何か色々おかしい。
するとマスターの吉田からLINEが。
《ボックスの二人は菅野組の兵隊》
菅野組は田舎のお偉いさんの汚れ仕事引き受けてるどこにでも居るありがちなお掃除屋さん。
揉めて得する事は皆無だが、このときばかりは様々な下心に支配されてしまっていた。
私は男達から視線を彼女達に戻し自己紹介をする。
黒澤『初めまして。黒澤と言います。自営業…っていうかフリーターみたいな仕事してる変なおじさんです。』
すると声をかけてきた活発そうな女性が満面の笑みで
玲子『私は玲子、このコは真由。仕事はこの令嬢の友人兼お世話係』
真由『ちょっと玲子ぉ!』
焦って真由と紹介された女性が声を少しだけ粗げて私に振り返って訂正を始めた。
真由『同級生なんです。お世話係じゃなくて秘書兼運転手というか、色々手伝って貰ってるんです。』
黒澤『真由さんは会社経営か何かされてるんですか?』
真由『いいえ。父の会社を手伝ってるんですけど、名前だけの取締役みたいなただのお荷物です。』
玲子『謙遜なんかする事無いゎよ。お荷物だなんてとんでも無い。実際は会長であるお祖父様がお父様じゃなくて真由に任せたがってた位なんです。ざっくり言うと貿易関係の仕事なんですけどね。』
私はあえて無関心を装い
黒澤『今日はお二人とも素敵な御召し物ですね。結婚式の帰りか何かですか?』
それに答えるのは玲子。
玲子『えぇ。二人とも海外と日本の行き来で、男作る暇が無いって言うか、長続きしなくて御祝儀出てく一方なの。まぁ真由に至ってはその気あるのか無いのか解らないんだけど。』
真由は私に対して反論を述べ始めた。
真由『私だってその気無い訳じゃないんですけど、父の関係の縁談から逃げるのが手一杯で他に気を回す余裕無かったんです。』
黒澤『私のような底辺で仕事してる者には解らない苦労があるんですねぇ。』
私なりのジョークと媚びを織り混ぜた当たり障りの無い返答を選んだつもりだった。
そこに玲子が食い付く。
玲子『底辺の仕事って具体的に何をされてるんですか?』
黒澤『まぁ何でもやりますよ。古物商許可証があるので中古車の注文受けて探したり、売りたい人の預かって売りに行ったり。他にも興信所みたいな仕事もします。大きな声では言えないですが、違法な調査も報酬次第では受ける事もあります。』
会話を弾ませようと提供した仕事の話で、つい裏稼業の事まで口を滑らせてしまった。
これが人生最大の分岐点への引き金となってしまったのだ。
突然真由は表情を整えバッグからスマホを取り出し打ち始めた。
玲子も声のトーンは変えずに顔を私に向けたまま同じように表情を正し、当たり障りの無い会話を続けた。
玲子『黒澤さんはこちらのお店は良く来るんですか?』
私も内心緊張感が増したのだが、同じように声だけは変化を悟られないように答える。
黒澤『月に2回か3回位、日曜日限定でリフレッシュに来てます。玲子さん達は?』
玲子『私達は初めて。』
黒澤『やっぱり?見かけた事無かったから。こんな素敵な女性なら1度拝見したら忘れる訳無いものね。』
玲子『昭和のホストの呼び込みみたいな台詞(笑)』
黒澤『自分でもそう思うよ(笑)実は大昔やってたから(笑)』
この会話のやりとりの途中で真由がスマホを私にこっそり差し出した。
《報酬はお支払いしますから、あの男達から私達を守って》
《どういう事?》
質問を打ち込み彼女の膝元にスマホを差し返す。
玲子がホスト経験に食い付いたふりをする。
玲子『やっぱりホストって枕営業とかするんですか?』
黒澤『私の時代でそれしちゃうと、先輩ホストにリンチですよ。』
玲子『やっぱり儲かりました?』
黒澤『時代がバブルでしたからね。普通に日帰りで韓国に焼き肉食べに行ったり、車で飲みに行って何日も駐車場置き忘れてたり、ワケわかんないお金の使い方してる時代だったんで、そういったお客さん相手してると、普通って感覚の境界線が押しやられてくんですよ。』
玲子『バブルって、黒澤さん何歳なの?(笑)昭和のホストジョークで二十歳とかは無しね(笑)』
再び真由がスマホを差し出してきた。
《ナンパ男かと思ってましたけど、父が紹介してきた縁談の中にあの二人を従えてた男が居たんです。思い違いかも知れませんけど。その男の人は高圧的でどうしても受け付けないタイプだったので、紹介された早々直接お断りしたんです。思い違いかも知れませんけど…》
黒澤『真由さんは私が何歳に見えます?』
警戒されないよう会話に参加させるべく真由に質問してみた。
突然のふりに明らかな戸惑いを見せたが、突然だったからではなく、答に困ったから戸惑って居たようだ。
すると玲子がフォロー。
玲子『黒澤さん、今時ギャバ嬢でもその返しは無いですよ(笑)』
《事情はざっくりとしか解りませんが承知しました。お帰りはご自宅?ホテルかどこかお部屋取ってますか?》
《大学はこっちだったんですけど、地元じゃないんです。なので友人が取ってくれてた式場のホテルに帰るつもりでした。》
黒澤『その程度のボキャブラリーと会話センスだったので長続きしなかったんですよ(笑)』
《準備しますので少しだけお時間下さい。先に出ますが、マスターから合図が出たら会計済ませてエレベーターの1階押して、乗らずに階段で1つ上のフロアの踊場で待ってて下さい。迎えに行きますから。》
スマホを返して吉田に耳を貸すよう人差し指で招く。
黒澤『吉田さん、今夜は俺のドカで帰ってくんない?埋め合わせは必ずするから。』
吉田『乾クラでキャブは乗りにくいからヤ。』
そんな会話をしながらも吉田の腰からキーケースを奪い、わざと指紋が残るようボルボのキーとドカのキーを挿し替えた。万が一警察沙汰になったとしても、これで知らぬ間に無理矢理盗られたと後からでも辻褄合わせが可能になる。
黒澤『じゃマスター帰るね。』
吉田『ありがとうございました。』
先程の口振りとはうって変わったスマートなお辞儀と口調で私を送り出す。
ドアが閉まるのを確認し、エレベーターを迎えるボタンを押して階段に向かう。この雑居ビルは古いので他の賑わいに比べ人の出入りも少ない。階段駆け降りても気にする人はおろか、それ以前に人に合わない。が、建物の外はそうはいかない。注目浴びない程度に吉田の契約駐車場に向かう。850ターボR。頑丈さが取り柄の車に、ほんの少しだけメーカーが馬力載せてくれたありがたい車。今となっては物好きしか乗らないゴミ扱いの古い車だけど。
黒澤『吉田さんごめんね。暖気してあげる余裕無いの。』
目立たぬよう加速させ、先程の雑居ビルの裏口に車を停める。店に電話しながら階段を駆け上がる。
黒澤『吉田さん、彼女達お願い。』
吉田『土曜日の20時予約のお客様ですか。はい。承っておりましたが…キャンセル?承知しました。また機会がございましたら是非当店のご利用お待ちしております。』
訳の解らない返答して電話は切られた。
閉店してる店舗の入り口の死角で待っていると玲子が急ぎ足でエレベーターの扉に向かい、中に身を乗り入れ1階を押す。その間に財布をバッグに仕舞いながら真由が階段に向かって行った。店の中から男達の怒号のような催促が聞こえる。
…『マスター!急いでんだから早くしろよ!もぉ釣りはいーよ!』
駆け出して来た二人組はエレベーターが下に向かってるのを確認し、階段を駆け下りて行った。
私も後を追い階段に向かうが、上で身を屈めている真由と玲子に動かぬよう手のひらで制し、男達の動きを観察しに行こうとしたが、足音で表に駆けて行くのが解った。
黒澤『今のうち。』
手招きしつつ警戒しながら車を停めてあるビルの裏口に向かう。
無事に車に到着。だが後部座席のドアを開けて彼女達が乗り込む瞬間に
…『居たぞ!』
奴等はワンブロック外周廻って建物の裏手に居た私達を見つけ走って追いかけて来た。
だが今日は日曜日。繁華街も夜は走りやすいと思える程度の交通量しかない。そんな中では人間の足は無力を思い知らされる。
バックミラーを見ると後ろを走る男がどこかに電話してる。応援を呼んでるのか?
って言うか、振られた女にそこまで執着する男?何か裏がありそうで嫌な予感しかしない。
黒澤『すみませんけど、シートベルトしてグリップに掴まってて貰えますか?少し踏みますんで。恐くても我慢して進行方向見て身構えててね。』
真由『わ、解りました!』
弱々しい返答する真由とは対照的に
玲子『よぉし!行けー!黒澤ー!!』
と、少し能天気な玲子。
派手なコーナーリング決めるとスキール音で居場所をナビしてるようなものだ。
なのでとっとと繁華街を抜け出し高速入口へ向かう。スポーツカーでも無い限り追い付いて来るのは難しいだろう。
黒澤『たぶん宿泊予定のホテルに戻るのは危険なんで、空港がある隣街へ向かいます。そこで適当に宿取ります。とは言っても時間が時間なのでキチンとしたとこは無理かも知れませんけど、今夜だけ我慢して下さい。』
それに答えたのは真由。
真由『海外回ってると必要にせがまれて、ホテルと言っていいのか解らないとこに泊まる時もあります。ですからその辺は大丈夫ですので気にしないで下さい。』
玲子は能天気な素振りを貫き
玲子『私は黒澤と同じ部屋でも同じベッドでもいいゎよ(笑)』
真由『ちょっと玲子ぉ!いい加減にして!』
少し困った表情で玲子を制する真由だったが、緊張を解こうとする玲子の気遣いは真由には効果が薄かったようだ。
余計なチェックイン等で手間や動きの痕跡残したく無いので、過去に利用した記憶があるフードメニューの豊富なモーテルへと向かい、大きめの部屋を取る。
勝手に適当に食べ物や飲み物の注文済ませ、備え付けの簡易キッチンで赤ワインを温め、コーヒーシュガーを溶かし、グラスに注いで彼女達に渡す。
黒澤『落ち着いたらシャワーでも浴びて寝るといいよ。私は車に戻るから何か用があったら呼んで下さい。』
お湯で溶かしたコーヒーシュガーに、ボトルで注文したマイヤーズを注ぎ朝食用のバターを浮かべて軽くステア。
ホットバタードラムとか言うカクテル。
それを2つテーブルに置き、ラムの瓶を持ったまま玄関に向かう。
すると玲子が
玲子『私達そこまで何も知らない生娘にでも見えるの?』
真由もキャラに似合わず便乗する。
真由『それなりに大人の女としての経験してますよ(笑)それに3人で寝てもじゅうぶん寝れる広さのベッドですし(笑)』
玲子『なぁんにも無理矢理取って食ったりしないから安心しなってオジサン(笑)』
盛り上げようとおどけてみせる玲子の気遣いを汲み取り
黒澤『それじゃぁ玲子さんはソファーで、私と真由さんでベッドを(笑)』
玲子『なんじゃーそりゃー!』
黒澤『一応連絡するとこあったら今のうちに連絡して。味方が居るなら空港まで迎えに来て貰うのがベストだけど。』
吉田からLINEが入っていた。
《無事?》
《ボルボには傷1つ上の付けてないよ。》
《それだけが唯一心配だったの。安心して寝れる。》
《おい!俺達の心配じゃなかったのかよ(笑)》
《おやすみ》
《もう突っ込む気も失せた》
向こうも問題無く済んだようだ。
真由がどこかに電話してたようだ。
真由『お祖父様が体調崩して救急車で運ばれたらしく、入院の手続きや準備の為に病院向かう途中執事と秘書が乗ってる車が交通事故で二人とも亡くなったって…。』
私『えっ!?』
玲子『いつの話!?』
私と玲子が同時に驚愕の言葉を吐き出した。
真由『今朝の話しらしいんだけど、お祖父様は私達にしばらく戻らず身を隠した方がいいって言ってるって…』
黒澤『今の電話の相手はどなた?』
真由『私達の部署の同僚というか部下です。』
黒澤『迎えに呼ぶため居場所は知らせた?』
真由『いえ。言う前に先に話を切り出されたんで言えなかったです。』
黒澤『もしも社長や上司が居どころ問いただしたら口を割るよね?』
真由『たぶん。』
黒澤『他に信用出来そうな人は?』
真由『学生時代からこの仕事してきてたので、友人達もそこまで頼れる位の付き合いはしてこなかったんです。』
そこで玲子が口を挟む。
玲子『私も友人と言えるのは真由だけで、他の知り合いは乗り捨てた男達位かなぁ(笑)』
状況から推測出来るのは彼女達は父親が連れて来た男に狙われ、殺しも厭わない連中にも狙われてる危険が潜んでる。
黒澤『ん~と…ちょっとまだ何とも情報少ないから予防策って事で私の指示を聞いて欲しい。とりあえず二人ともスマホの電源切って。どこかに連絡したい時は、非通知で固定電話か私のを使って貰えるかな?それと何日かかるか解らないから、朝イチで持ち歩けるだけの現金を引き出しておこう。その後の事はシャワーして一眠りして、移動しながら話し合おう。いい?』
真由『解りました。』
玲子『OK。』
黒澤『んじゃ悪いけど、先にシャワー使わせて貰うね。済んだら車で待機するから順番にシャワーして休んで。』
脱衣場で脱いだ服を一まとめにし、フェイスタオル1枚だけバスルームに持ち込みシャワーを浴びた。
ほぼ洗い終え、体に残った泡を流していると、脱衣場に二人の影がある事に気付いた。
黒澤『もうすぐ出るから待たせてごめんね。』
声をかけたが返事は無く、変わりにドアが開いた。
一瞬見間違いかと思ったが、一糸纏わぬ姿の玲子が入って来た。それどころか後から胸元を隠すようにしながら真由まで。
玲子『皆でシャワーした方が早いよ。』
真由『報酬の一時金の変わりに背中流しに行こうって誘われたけど、もう済んじゃったんですね?』
黒澤『………』
玲子『おーい。何とか言え黒澤。』
黒澤『えーと…』
玲子『皆でシャワーした方が早いかと思ったけど、逆に遅くなりそうね?』
私の反応した中心部を凝視してソレに向かって話しかけていた。
それに気付いて体の向きを変えたが、大きな鏡で結局お互いに丸見えだった。
黒澤『もしかして二人とも酔ってる?』
玲子『かーもねー♪』
返事と同時に背中に抱き付いてきた。
衣服の上からでも想像ついてたが、背中に当たる膨らみはデカイ…。
黒澤『…E…』
玲子『F!』
そう答えながら私の肩を引き正面を向かせ、首に腕を回して引き寄せて来た。
あっさり唇を奪われ、脳内での現状把握が追い付かない内に、玲子が真由の手を引き両サイドから抱きしめられた。
胸は玲子ほどの大きさは無いが、形も綺麗で肌もシミ1つ無い。二人ともお尻の肉が厚みがあり持ち上がってる。普段たくさん歩いてるのが垣間見える芸術的なお尻の形だ。
私の太腿に触れる下腹部に本来あるべき毛が二人とも無かった。
パイパンってヤツ…
黒澤『二人とも毛が…』
真由『どこも怪我してないですよ。』
玲子『そーゆーことじゃねーって(笑)衛生面考慮して綺麗にしてるのよ。欧米じゃ割と普通なのよ。黒澤は有った方が好み?(笑)』
黒澤『無い方が舐める時鼻が擽られなくていいかな?って、何をマジで答えてんのさ?』
未だ状況処理が追い付いて無いのだが、玲子は有無を言わさず。私のを握りしめて来た。
玲子『こんなになってるんだから、今更拒否しないゎよね?結局無理矢理取って食っちゃう事になるけど(笑)』
黒澤『お手柔らかにお願いします。(笑)』
だんだんと落ち着きを取り戻しつつある私は、自分の中心部にある正直者の愚息の将来は玲子に任せ、何も出来ず固まってる真由をそっと引き剥がし、頬に手を添え目を見つめながら顔を接近させる。これから自分の唇が向かう場所へ視線で合図する。額、瞼、頬、そして唇。意外にも真由の唇が開き、中から舌先が飛び出し私の唇を抉じ開けて侵入してきた。
その瞬間によりいっそう固くなり一回り大きく変わった。
それが合図であったかのように玲子は床に膝をつき、腰の正面の位置へと私と真由の間に隙間を割って入ってきた。
玲子『頂きまーす♪』
いきなり喉を突くほど深く含み、顔を前後にスライドさせ始める。予期してなかった強い刺激に快楽よりも擽ったさが勝り腰を引いてしまう。そうはさせまいと玲子は両手で私の尻を抑え引き寄せる。さらにわざとジュルジュル音をたてて口に含んだまま吸いながら舌で掻き回す。このまま玲子に意識を向けたままだとこの勝負は簡単に持っていかれそうだ。
私は真由に意識を戻すが、下半身の勝敗への影響は逆効果でしかなかった。
ひたすら我慢しつつ真由の髪の毛に指を絡めながら頭を撫で、反対の手は胸へと伸ばす。程好い弾力を味わいながら、淡いピンクの突起を指の腹で撫で上げる。一際大きな吐息がこぼれ、それを合図にまた唇を求めお互いの唾液を奪い合う。
玲子『ここでこのまま始めると、何と無く私が損する気がするから、黒澤は先に体を拭いてベッドで待ってて。』
指示に従い名残惜しそうに唇を離しバスルームを出てフェイスタオルで体を拭いていると、その間に二人ともシャワーを済ませて出て来た。二人にバスタオルを手渡し私は脱衣場を出てマイヤーズのボトルを手にベッドに腰掛けラッパ飲みで一口。テーブルの上に置いていたワイングラスも、オンスタンブラーも空になっていた。
黒澤『やっぱり二人とも酔ってるんだな…』置かれた状況を処理する為に独り言を呟いた。
玲子『酔ってたらダメなの?』
意地悪な笑みを浮かべながらバスタオルを肩にかけ、脱衣場から玲子が出て来た。すぐ後を追って真由も来るが、こちらはバスタオルで体を包んで居た。
真由『そもそもお酒作ってくれたのは黒澤さんでしょう?』
玲子の意地悪発言に便乗してくる。
なぜに女性は共通の敵を見付けると仲良く攻撃的になるのだろう?
ボトルをサイドテーブルに置こうと体を捻ると同時に玲子は私の肩を押し、それほど強い力では無かったがバランスを崩しベッドに倒れる。
玲子『おっ!偉い!まだ半分以上勃ったままだ(笑)歳の割には元気だねぇ(笑)』
黒澤『歳は永遠の二十歳ってのが業界の定番だ。』
玲子『どこの業界よ?(笑)』
私の膝の間に割って入りまた深く口に含む。
今度は真由も私の顔に跨がり左右バランスのいい薄目の陰唇を鼻の近くに差し出した。
真由『毛が無い方が舐めやすいんですよね?』
玲子の意地悪な表情とは違い優しい笑みで挑発してくる。差し出されたその部分はシャワーの水ではない輝きがあった。
黒澤『シャワーの拭き残しがあるようですよ。』
私の視線から何の事かすぐに読み取った真由。
真由『バカ。余計な口は利けないようにしないと。』そのまま腰を支える力を抜き押し付けて来た。
溢れ出る無色透明なとろみのある液体はほんの微量の塩っけと酸味はあるが匂いは甘く感じる。そのまま一滴たりとも溢さぬよう丁寧に舐める。両手は尻肉に指が食い込む程に強目に支え、逃がさないという主張を表現する。蜜を舐めとっていると鼻の頂点が陰核に擦れ、皮の中から顔を出し始めた。
真由『いぃ~…』
肉芽を唇で挟み優しく吸いながら舌で転がす。
真由『ダメ!それすぐイッちゃう!』
発した言葉通りにすぐに気をやってしまう。小刻みな震えと共に両手を付き体を支える。
触発されたのか玲子は口を離し、たぎる陰茎がある場所へ歩を進める。腰の上で仁王立ちする玲子は震える真由を脇に移動させ、標的に向かい腰を沈めてきた。そこに到達する前に糸を引く滴が標的にヒットする。
あえて何も言わなかったが、視線が合うと妖艶な表情を私に向け僅かに口角を上げ、そこに手を添え一気に腰を落とした。いくら十分な程に濡れてるとはいえ、初見にお相手に一気に進むには抵抗力ありすぎて、私は軽い痛みを伴う苦痛を感じた。しかし玲子はそうではなかったようだ。
玲子『あ"ぁ~ぁ!!』悲鳴に近い声をあげて、背中に鞭でも打たれたかのように反り返り、一瞬間を置き私の胸に崩れ落ちた。
二人とも相当な感度の持ち主のようだ。
呼吸が整う間も惜しむように、私の舌を吸い取るように貪りついてきた。私はやはり尻肉を掴み下から静かに突き上げる。二人ともホントにいいケツだ…。尻肉の感触を堪能しつつも、静かに腰の上下運動を続ける。
隣でぐったりしていた真由も顔を近付け微笑みながら至近距離で唇の打撃戦を観戦している。それに気付いた私達は密着していた肌に隙間を開け招き入れる。
首の後ろに腕を回し、肩を掴んで抱き寄せる。真由も交えての唇の乱打戦が始まるが、玲子は状態を起こし離脱。腰のぶつけ合いで呼吸が辛くなったようだ。真由の肩を掴んでた手を下へ伸ばす大好きな臀部の膨らみにそって撫で回すと山峡の湿度が高い。谷に添って指を滑らし、涌き出る泉の源泉に到達する。ビクンっと弾けるような震えと共に源泉が遠ざかる。私はルート変更余儀なくされ正面からのルートで泉の中へと探索を再開した。探索隊の隊長がもう一本応援を呼ぶ。きつい隙間だが、潤滑油のおかげであっさり飲み込んだ。二人の女性の心地好い悲鳴と溢れるような掠れ声の合唱。
私も快感の塊が弾け飛ぶ寸前に追いやられた。真由から唇を離し玲子にその旨を絞り出すように伝える。
黒澤『出そうだから抜いて…』
玲子『大丈夫だからそのまま出してぇ!』
塊を放出する反動が腰を跳ね上げた。その一突きで玲子も再び気をやった。
溢れ出た男の白い衝動がシーツに溢れる前に抜き取り荒い呼吸を整える事もなく吸い取り始めた。
玲子『綺麗にしてあげる。』
私の陰茎に垂れる精液と彼女の分泌液のカクテルを舐めとり、足りないとでも言うかのように道管に残る物まで搾り取ろうと吸い続けた。力なく崩れ落ちかけてた陰茎も、手厚い応援により立ち上がりファインティングポーズを取った。今度は私が真由に覆い被さるようにし静かに挿入する。玲子はウィンクをしシャワーを浴びにベッドから離れた。
玲子よりは細身だが、真由も痩せすぎという訳ではなく、均整のとれた綺麗な芸術品のような肢体だ。きつめのそこを堪能する前にしばし観賞してる。
真由『どうしたの?私の何か変?』
黒澤『綺麗だったからつい眺めてた。』
真由『それも昭和のホストジョーク?(笑)』
黒澤『そんな減らず口叩けるのも今だけだよ(笑)』
確かめるように静かに腰のスライドを始める。目を閉じ軽くのけ反る真由。
スライドの速度を速めて行く。
真由『ダメ!いやー!』ビクンとお腹が痙攣して浮き上がる。だが私は動くのを止めない。
真由『イキ過ぎるー!壊れるー!!』
何度か真由が昇天するが、その度に収縮する膣の壁が私の固くなってる物をそれ以上大きくなるなと抑え込むかのように握り締め、それにより限界までの期間が短縮される。
黒澤『俺もイク!』
真由『私にも中にちょうだい!!』
黒澤『!』
少し迷ったが誘惑にあがなう事なく中で果てる。
真由『う"ぅっぐっ!』
歯を食い縛り涎が口許に流れ始める。
枕まで流れ落ちる前に私が舌で掬い取り、そのまま唇へと移動する。
息も絶え絶えで真由はそれに答えようとするが、背後から玲子に引き剥がされた。
そのまま後方に倒れ混むと、シックスナインの体制で上に乗り三度立ち上がらせるべく唇と舌で介護する。
綺麗に洗われてきた目の前の女性器は真由よりは肉厚な陰唇で陰核も大きめだ。吸いごたえがある光る粒に迷わず吸い付く。
お尻の穴がヒクつくのが何とも興奮を煽る。イタズラ心が湧き、割れ目から溢れた滴を指で掬って皺の集まる中心に塗り付ける。
玲子『あん♪』
嫌がる様子は無いようだ。そのまま指を肛門に沈める。
黒澤『こっちも経験ありそうだね?』
玲子『そういう事聞く?バカ…』
怒ってる口調では無いが体を離した。
意識がはっきりしてきた真由と何やら小声で相談していたようだ。
二人並んで四つん這いで尻をこちらに向けて来た。
真由『黒澤さんってお尻フェチでしょう?(笑)』
玲子『さぁ、好きな方に好きなようにしていいのよ♪』
今度は二人とも意地悪な笑みを浮かべ、振り返って誘う。
黒澤『神様は明日死ぬ俺にご褒美くれてるのかな?』
そんな事言いながらも動けなくなるまで3人で楽しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます