当たり前だって不幸

もっと不幸だったら

もっと本気で生きてみるのだろうか


僕が生きてる瞬間に他人が死んでる事実が

必死に生きる理由にならなくて

心が潰れてしまうほどの不幸がうらやましくて

当たり前が不幸になった


雨と夜を居場所にしてみて

三日月に自分を重ねてみて

他人を観察しては足りない部分を不幸と呼んだ


だれも僕の心を覗けないとわかっているのに

恵まれてるとだれかに言われてる気がした

重い病に罹ってしまえば、残りの命、しぼりとるように生きてみせるのに


こんな妄想ができる僕は 不幸を嘆き けっきょくなにも残せず死んでくだけだろ


空に一ミリでも傷をつけたければ 

不幸と書いて当たり前と読むことからはじめよう

空に一ミリでも傷をつけたければ

伸びきった爪のままでも手を伸ばせ


座り込んだ灯が雨降る夜に消える前に

何者にもなれないなんていう

ほんものの不幸にやられる前に









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