軍オタ錬金術師と神姫が始める異世界風機甲師団生活!
澄ヶ峰空
序章 アルケミスト、異世界転生をする!
第1話
普通な人生。それを俺は望んでいたんだ。現に、俺は容姿も不細工ではないがかといってイケメンでもない。そこそこ整った顔に切れ長の目。黒髪黒目。身長は170センチちょい。いたって普通だろ?
別に特筆するような個性があるわけがあるわけでもなく、今は国立大学工学部三年生の二十歳の六月の第三土曜日。友人もそれなりにいるし、かなり豊かなスクールライフを送っているはずだ。彼女はいないが後々作る予定だ。まあ彼女のいない歴イコール年齢、同時に童貞という弱点も抱えている。どうだろう、世間一般でいうリア充とは少し違うが、ある意味に勝ち組の生き方だ。最も楽で生きがいの無い生き方。そう思うやつもいるだろう。だが、俺は満足していた。あ、個性がいないといったけど、俺は人に入ってない趣味がある。俺はいわいる軍オタってやつなんだ。陸上自衛隊の自衛官でオタクの両親を持った影響なんだけどさ。ま、もちろん周囲にはいってないんだけども。
それなのに、人生というのは自分起こって欲しくないことのほうが起こる可能性が高い。もしこれが可愛い女の子との恋、なんてものならよかったかもしれない。だが、俺は大学の友達と駄弁った後池袋のアパートに帰る途中、最近巷で有名な通り魔にザク、っとやれてしまったんだ。その日は丁度俺が遊び半分で狙っていた小柄の後輩もいた。その子を刺そうとしているのを咄嗟にかばったわけだが、自分でも思うがなんてバカなんだろう。その後輩が、
「先輩、佐々木先輩……!」
なんて叫んでいる声が遠い。意識が朦朧としている。今は昼過ぎの三時くらいだ。幸い、人目が多いところで刺されたので、救急車は早く来るだろうが、結構出血がひどい。
ああ、俺死ぬかも。母さん、父さん、もうちょっと親孝行しておくべくだったかな~、なんてことを思っている時点で、脳は大丈夫かどうかわからんな。だが、自分が死ぬのに、不思議に焦りは無かった。もしかしたら俺は人生の最後に何か事件が起こったことに満足だったのかもしれない。意識が朦朧とし、最後に後輩にこれだけを伝えようという意志でどうにか顔を上げる。
「おい、三上。俺が死んだら、俺んちのパソコンだけは何があっても壊せ、って宮村に伝えてくれ。あいつならそれだけで事情がわかるから」
俺はそれだけ言って満足して目を瞑る。あのパソコンは今までの全てを記した良い物も悪いものも全てを記憶している。相棒を手放すのは悲しいがあれが他のやつに見つかったら洒落にならん。
「先輩、やだ、死なないで!」
人がわらわら集まってきた。とっくに殺人犯様は逃げてる。なかには携帯で俺の写真を取るやつもいる。ふ、フラッシュが! やめなさい、フツメンの痛がる顔を見て楽しいかお前?
俺はそのなかで意識を失い、息を引き取った。はずだった。だが、俺は黒い空間にいた。本当に何も無い。そのなかで横たわる俺の前に女子高生くらいの清楚な女の子が現れる。俺の顔の角度から見えるか見えないか、その絶対領域を気づかれない程度に必死に見ながら俺は思う。あ、この子もめちゃめちゃタイプだわ。
「ようこそ、佐々木良治さん。あなたは死にました。それでは転生の準備を始めましょう」
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