第12話 私/母性

ちいさなちいさな生命を

いとおしいと思った時

すごくあったかくなって

涙があふれた。


ああ ここにあった

ちゃんと自分のなかに あった

そのものを愛おしく思える心

無いと思ってたのに

ちゃんとあったんだ

よかった

ほっとした


自分に愛情なんかないと思ってた

子供を無碍にしようとしたし

親すら信じられなくて恐怖して

自分もどうでもいいと思った。


だけどね

あったかい命にふれたら

すごくすごく大事にしたくなった

気づいたら笑ってた

自分でも驚くほど

やさしく見つめてた


ああ よかった

本当に よかった

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