第2話 かわいそうな娘です

 お前はかわいそうに、ねえ。

 末っ子でかわいそうに。

 勉強もできなくて、一生苦労するよ、かわいそうに。

 どこまでも頑固で、かわいそうに。

 普通でいられないのか、かわいそうに。

 ああ、かわいそう。

 お前は本当にかわいそう。

 親の気持ちもわからない、かわいそうな子だよ、本当に。

 ほらこっちに来なさい、親の言うことを聞きなさい。

 人の話も聞けないのかい、かわいそうな子だね。ホント。



結婚前は、そりゃもうってくらい親から言われ続けていた言葉。

何かあれば「かわいそう」のネタにして比べられ

何かしたら「かわいそう」と上から目線でけなす。

結婚し家を出たら減るかと思っていたけど

結婚後は言葉が変わっただけだった。



 主婦でかわいそうだね。

 仕事しないなんてかわいそう。

 お前の子供もかわいそうだよ。

 子供をそんな思いさせて、ああ、子供がかわいそうだ。

 ほら見てごらん。我が子がかわいそうだと思わないのかい。

 こんなものを食べさせて、かわいそうに。

 ちゃんと普通の母親がやることも、お前は全然できていないだろう。

 それがわからないのか、どこまでもかわいそうな子だね、お前は。

 お前は本当にかわいそうな性格だわ。

 ああお前はかわいそうだ。



やたら言われるくらい、かわいそうなのか?

違うと思うんだけど。

充分しあわせにやってるよ。


 

 うんうん。そうかい。

 ああ、かわいそうに。



反論しても「かわいそう」で封じる。

改めて、毒親は日本語使いが上手だなと思う。(嫌味です)

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