血みどろ遊戯

深乃ふか

0 処女の夢

 不思議と痛みはなかった。

 どくんどくんと鼓動に合わせて首筋が熱く火照っていくのが感じられた。

 少女はゆっくりと目を開け、見た。

 血を、その口元に滴らせた悪魔を。

 その悪魔の微笑みを、少女はうっとりと見つめた。

 悪魔は忌み嫌うものだと信じていたのに、目の前にいる彼は美しかった。

 少女の白く柔らかいうなじには、悪魔の牙の噛み痕が。

 悪魔はふたつの傷口から溢れ出す血に唇をはわせた。

 悪魔の唇が、舌が、少女の理性の鍵をひとつひとつこじ開けていき、

 やがて少女はどろんとした甘い鉄の匂いの中で、

 すばらしい血みどろの快楽に身を委ねていった。

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