ジャンル問わず(問わないとは言ってない)
一次選考を通るのは運と言いましたが、それ以外に一つ、とても重要な要素があります。
というより、送る賞を選ぶ際に、最も気を使わなければならない点――それがカテゴリーエラーです。
公募の賞というのは、それぞれに特色――カラーがあります。
極端な例を挙げると、ミステリーの賞に異世界転生俺TUEEEEEな作品を送って、受け入れてもらえるか――んなわけない。
ここまで極端ではないにしても、その賞によって求めている作品の性質というのはある程度決まっています。
そこから明らかに逸脱した作品は、基本的にはねられます。
しかし、賞の応募要項を読んでみましょう。ふむふむ、「ファンタジー、ラブコメ、SF、ミステリ、ホラー、青春などジャンルは問いません」? やったぁ! なんでも受け入れてくれるじゃあないか!
なんて思ってしまうのは人の性。ですが、そこにも潜むのがカテエラという魔物なのです。
ジャンル問わずなんて書いてある場合の「ジャンル」というのは、言うなれば「小説投稿サイトで作品を登録する際に選ぶジャンル」のことであって、大前提として、自分のとこの賞・レーベルカラーに合っているという条件が付随します。
その賞の気風を知る手っ取り早い(手っ取り早くはない)方法として、過去の受賞作を全部読むということが挙げられることが多いです。
それは否定しません。確かにそれが一番確実です。
しかし、過去の受賞作の焼き増しでは、多分受賞の目はないでしょう。怖いのが、過去の受賞作にどっぷり浸かることで、どうしてもそちらに引っ張られてしまうことです。まあそんな事態に陥るようなら最初から受賞の目はないのでしょうけど。
というわけで個人的なおすすめは、その賞の過去の講評を片っ端から読む、です。
自分に対してのものでなく(あるなら当然熟読)、最終選考後に賞のサイトに総評が載るところは結構あるので、それを読んでいけば、大体の傾向は掴めるはずです。
とはいえこれも完全ではありません。受賞作でなくとも、そのレーベルの作品はいくつか読んでおいたほうが無難です。
一番いいのは、「このレーベルが好き! ここで本を出したい!」というところに送ることでしょう。ただし、それで書いた作品がカテエラになる場合も当然あるわけですから、公募というのは怖い世界です。
そして、一つの賞に固執しすぎないことも必要です。前述したようにある賞では一次落ちだった作品が他の賞で受賞する場合は案外多いので、使い回しは正義です。使い回しでないにしても、自分の作風と賞の気風が噛み合わないという場合も当然あるので、色々な賞に出すことを試す価値はあります。
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