F-
@RedFalcon1141
第1話 Cランク
昔聞いたことがある。太陽の下で暮らしていた時代があったと。
だが今は違う。薄暗くじめじめした所でモグラ暮らし。Cランクだからな。
「おはようございます お仕事の準備をして、指定の場所に集合してください。」
不愉快な機械音声が耳にはいる。
ああ、今日もまた始まるのか。
「おい、いつまで突っ立てるんだ?」肩をたたいてきたのは、友人のナカモトだ。
「早くいかないと遅刻だぞコウジ。」ナカモトがまくしあげる。
ああわかってる。いま行くと言うと準備を急ぐ。
おっとランクカードを忘れるところだった。これがなくては仕事ができない。
コウジはカードを手に取りナカモトの所に急ぐ。
35年前の大戦から国はなくなり地上に住めなくなった。第二の故郷を作るために、
労働階級(Cランカー)が旧軍の廃棄兵器処理のために毎日毎日、機械のように
働いている。
「俺もBランクがよかったなぁ Bランクになれば毎日働かずとも、食事ができるんだ。」
ナカモトが愚痴をこぼす。そういうことを聞いてるとただでさえ少ない労働意欲がなくなっていく。
「はやく終わらそう。今日は中濃度汚染区域だ。急がないと体に悪い。」
コウジは愚痴を切り上げ仕事に入る。
こういうときはEランクの奴らの事を考えればまだマシになる。コウジはいつも仕事中は自分より下を見下してモチベーションを保っていた。
「自分の意志」も持たずに働くよりまだ給料をもらい、Dランクの女を抱いて欲を満たす。「だからあいつらより俺は優遇されているんだ。」
そんなときだった。聞いたこともないブザーが聞こえてきた。初めてきく音なのに鳥肌が立ち、自分に生命の危機が訪れていると理解できた。
「落ち着いてセントラルの指示に従ってください」機械音声が木霊する。
セントラルとは大戦前の人類が残した最後の文明だ。高性能HAVE人工知能の結晶で
現在地下を事実上支配している。
「Cランクナンバー8080以降の方はBゲートから…」音声の指示に従いゲートに向かう。
道中同僚の会話が聞こえる。
高濃度汚染水がDエリア付近で大量に溢れ出したらしい。汚染水レベル7みたいだ。
Dエリアはナカモトの担当区域だ、彼は大丈夫だろうか?愚痴ばかりこぼす奴だが大切な数少ない友人なのだ。杞憂だと良いのだが…
しかしコウジの予感は当たってしまう。
「すみません、Cランカー0899がいないんですが…」コウジはBゲートロックマンに尋ねる。
「Cランカー0899?現在Cランカー0965まで
避難が完了している筈です。」無機質な音声で返される。
ナカモトがいない。まさか事故に巻き込まれたのだろうか?助けに行かなければ。
しかしロックマンがそれを止める。
「Cランカー0719 警告します。直ちに引き返しなさい。」
コウジは必死に訴える
「しかし友人が巻き込まれたのかもしれない」
しかしロックマンは無機質な音声で二度目の警告を済ませる
。
「三度目の警告を無視した場合、射殺します。直ちに引き返しなさい。」
三度目の警告が執行されると何かがコウジの中で吹っ切れた。
「Cランカー0719警告を無視。
射殺許可申請」
セントラルによりその申請は瞬時に受理される。Bゲート中のロックマンがコウジに襲いかかってきた。
コウジは近くにあったエリア巡回用のバギーに乗ると手慣れた扱いでDゲートに向かう。
「追いつけるものなら追いつてみやがれ
こっちは毎日の重労働で庭のようにこの迷路を動けんだよぉ」
ロックマン達を尻目にコウジは全速力でDゲートに向かう。
「まいたか?…」
コウジが安堵すると同時に眼魔が襲う。
「酸素濃度に異常…?スーツがやられたか…」
コウジの身体中に酸素が大量に流れ込む。
「視界が…とぎれ…」
瞬間コウジの身体は宙をまった。
ロックマンにタイヤを撃ち抜かれたのだ。
ジワリジワリとロックマンはコウジを囲む。
ここまでか…と諦めた瞬間、ロックマンの胴体に穴が空く。
ロックマン達が一斉に視線を向けるとそこには白い髪に白い肌の少女がいた。
目の前に起こっている事をただコウジは見つめることしか出来なかった。
「大丈夫?あなたここの人?」
少女がこちらに声をかけると同時にコウジは意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます