第11話 創世の悪魔

 彼は最初からずっと、ただそこにいた。

 魔王が国を征服した時も、英雄が魔物を倒した時もそこにいた。

 彼はずっと見ていたのだ。

 彼はその様子を眺めて学び、ずっと笑っていた。

 そうして、ずっと機会を待っていた。


 何千年何万年ずっと待ち続けてようやく彼は動き始めた。

 待っていたのは自分に見合った体だった。

 彼は神との戦いにより体を失ってから、ずっと魂だけで生き長らえていた。

 そうやって、神をどうやって倒してやろうか考えていた。


 最初こそ、自分自身で倒す必要はないと考えた。

 ある時は、死を迎えようとしていた青年を不死にし、けしかけた。

 またある時は、罪のない神獣を狂わせ国を崩壊させたりした。

 

 しかし、上手くいったとしても神を倒すまでにはいかなかった。

 結局、人や動物の根底は悪ではなかったのだ。

 彼は悪の心が弱かったから神を倒すに至らないと考えた。

 だからこそ、自らにあった最強の体を探し、神を倒そうと考えた。


 創生の悪魔は世界に悪を作り続けていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る