よみがえりの一族

真白 悟

忍び寄る死の気配

第1話 序章

 僕がいたのは、風が吹くと気持ちがよくなる不思議な丘だった。


 そこは僕のお気に入りの場所で、いつもここを訪れていた。


 だけど、もう二度と来る事はないだろう。


 それこそが彼女と結んだ約束なのだから、その約束だけは二度と破りたくない。


 努力が足りなかったわけではない……ただ才能がなかっただけ……


 でも、それだけで魔法士になれないのは納得できない。


 結局、彼女との約束を破ってしまった。


 僕ももう休みたいよ……


 そしてもし願いが叶うのであれば、もう一度彼女に会いたい。


 僕は丘から空へと飛び出した。


 身体は時間が経つにつれ軽くなり、まるで空を飛ぶ魔法のようだ。


 僕はやっと魔法を使えるようになったんだ。


 そして迫りくる地面を目にして僕は少しだけ後悔した。


 もし、来世があるなら今生よりもいいものであれと願う。

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