第3話 職業は、なんですか
ここは、異世界!ファンタジーアイランドだ!
誰もが一度は夢見る理想郷だ!
俺は、まだ見ぬ世界への冒険に心躍らせていた……
訳では無く夏休みの日数を気にしていた。
妹と早く元の世界に帰るため俺は、まずこの世界を知ることにした。
やみくもに出歩くよりはまずケインズさんに聞いてみるのが早いだろう。
それと俺は、少しの間ケインズさんの家においてもらえるようお願いをした。
ザックリとわかった事は
①言葉は通じるが、文字は違っていること……ひらがなに近い
②通貨の単位は"ウェン"であること……微妙な呼び方だ
③魔法が使えること……是非とも覚えたい
④いくつかの王国がありカイザルは、中くらいの規模であること……まあまあ都会か
⑤魔王やモンスターが存在すること……ドラゴンは怖い
⑥魔王の城は、ここから比較的近いこと……⁉︎
これは、この世界の常識なのだが知らない俺に対してケインズは、痛い子を見る目をしていた。これは、けっこうこたえるな……
ここは、ひとまず俺が倒れていた場所に手がかりが無いか調べてみるか。
俺がケインズさんに相談すると準備があるから明日ならいいよと言われた。仕方がないケインズさんだって暇じゃないんだから。
俺は、夜中にシューシューという音で目を覚ました。
な、なんだよこの音。気になる。音を頼りに近づいていくとケインズさんがなんだかニヤニヤした顔で剣を研いでいた。
おいっ、大丈夫か俺!まさか切られないよね。俺は、そっとベッドに戻り布団を深く被った。
朝になり、身体のあちこちの無事を確認しているとケインズさんがやって来た。
「おはよう、タケル昨日は、よく眠れたかい。」
いや、あなたのせいで良く眠れなかったんですけど……
「おはようございます。ケインズさん、妹のことが心配で……」
「そうか、何かわかるといいな。」とケインズさんは、俺を励ました。
「あと、ケインズでいいから。」
「ありがとう、ケインズ」
ケインズは、親指を立てイイねとやった。
町の外に出る為俺たちは、武器や防具を装備することになった。ガシャガシャと鎧を身につけると異世界に来た!というより単なるコスプレにしか見えない。
イイね、をするケインズに俺は、とりあえずイイねを返した。
勇者タケルの誕生だった!格好だけな
最後にケインズは、俺に武器を手渡した。ミスなんとかという謎の金属でできた両手剣だ。
見た目よりずっと軽く剣の刃先は輝いていた。夜中に研いでいたのは、まさにこの剣だったのだ。ゴメン、疑ったりして。
ケインズも装備を整え俺たちは、いよいよ出発することになった。かなりの重装備だか……
「ケインズ、たかだか町の外に出るくらいでここまで武装する必要があったのかい。」
「何を言ってるんだ。ここは、魔王城の近くなんだ。最強クラスのモンスターに出会ってもおかしくないぞ」
「!? 」そういえば昨日ドラゴンを見たような……
町を出てガクブルしながらケインズの後をついて行くと早速ワイバーンに遭遇した。小型のドラゴンといった姿をしているがすごく強そうだ。ワイバーンは、こちらに気付くと襲い掛かって来た。
「ここはわたしに任せろ!」
ケインズが剣を振るうとワイバーンの身体から血が流れた。
「ダメっ!殺さないでっ」
聞き覚えのある声がして女の子が駆け寄ってきた。
"ヒナだった。"
「ヒ、ヒナお前どこにいたんだ!心配してたんだぞ!」
妹は、俺を見て一瞬驚き
「お兄ちゃん、どうして……来ちゃダメっていったのに……」
と悲しいのか嬉しいのか複雑な顔をして言った。
「さあ、2人で帰ろう!」
妹は、今度は悲しい顔をして
「今は、まだ帰れないのお兄ちゃんは一人で帰って、早く帰って!」と言って何かを俺に投げつけた。
そしてふらふらのワイバーンに乗り飛び去ってしまった。
俺は、妹の投げつけたものを拾った。それは、あの時買った生塩キャラメルだった。
「あいつには、何か訳がありそうだな。」
とケインズが言った。
それ俺のセリフなんですけど…
「妹さんが、魔王のところなら心配ない。俺の職業は"勇者"なんだから!」と言ってケインズは、イイねした。
そんな職業あるもんかと俺は、ツッコミたかったが、ケインズの言葉は、心強かった。
俺は、黙ってイイねを返した。
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