eath-暗い世界で生きる-
大根葱
1.空は、青い
空が、こんなに青いなんて知らなかった。
草、木、花、土。
初めて見る景色に少年は感嘆の溜息をついた。
青に緑、様々な濃淡の茶色に色とりどりの花。一気に視界に飛び込んでくる色彩の洪水に少年は目眩がした。
目に見えるすべてのものが新鮮で、少年は飽くことなく周りを見渡していると、肌がじりじりと焼くような感覚がした。まるで日焼けカプセルに入ってるみたいだと考えてから少年は、弾かれたように上を見た。
蒼穹のやや左側に、燦然と輝くひかりを見つけて少年は、涙が浮かんだ。
「もしかして、あれが太陽か」
少年の知る擬似太陽とは比べものにならないほど眩しいひかりに、少年は少し目の痛みを感じた。
「まさか生きて本物の太陽を見ることができるなんて思わなかった。でもやっぱり、僕の目にはこのひかりは強すぎるみたいだ」
しばらく日光を浴びていると、ぶわりと身体に何かが当たり少年は驚いた。髪や服が後ろに靡く。しばらくしてから止んだその正体に少年は、感動がこみ上げ小躍りしそうになった。
「さっきのが、自然の風なのかな」
少年の知る機械が作る風と違い、とても力強い風に、機械の臭いのついていない、清々しい風に、少年は楽しげに笑った。
もう一度空を見上げる。
文献に書いてあった空色、とはこんなに綺麗だとは少年は思わなかった。地下にある空のグラフィックとは違う、どこまでも続く天に少年はただ、魅入っていた。
「なんて・・・美しい」
少年がぽつりと呟くと同時に、ピーっと甲高い電子音が響き渡った。
いつの間にか少年の周囲には黒い防護服を着て、防護マスクをつけた警察が囲んだ。
そのうちの一人が少年に向けて銃を突きつけた。
「区11のドミニク・ジュスタン・エルーで間違いないか」
優秀な政府の犬の登場に少年は手を挙げた。
「そうだよ、僕が区11のドミニクさ」
「よし。被疑者を確保」
そう言うと警察たちはドミニクの手を後ろに回して手錠で拘束した。
「ドミニク・ジュスタン・エルー。危険思想及び禁止区域への侵入により、貴殿の身柄を拘束する。」
ドミニクは空をもう一度見上げた。
この美しい世界を目に焼き付けるために。
自分が目を開けてるのか、閉じているのかさえわからない暗闇の中で、ドミニクは静かに寝転がっていた。
拘束され、目隠しをされてここまで連れてこられたドミニクには、正確な地理はわからないが、此処がどういうところかはわかっていた。この、牢屋に入れられてから、はじめは日数を計算していたが、2日数えたところでやめた。
どんな審議が行われるにせよ、結果は二つしかないだろう。ならば、日を数えてどれぐらいこの牢にいるのか数えても、意味がない行為だ。
あれからどのくらい経ったのか。一週間経ったのか、それとも二週間は経っているのか。
父親が亡くなってから、どうしても父から教えられた地上に出てみたくなった。過去の曽祖父たちの記録を読み漁り、地上を想像していると、猛烈に外に出てみたくなり、嗜める者もいなくなった今がチャンスだと思った。警備やシステムをかいくぐり、たどり着いた先は、言葉では言い尽くせないほど美しく、色彩であふれていた。地面にはふわふわとした草のようなものが生えていたり、土がむき出しになっていたりと、多種多様な植物が生えていて、見るもの全てがドミニクには、大切な宝物だった。
もう一度、地上へ出てみたい。
いや、地上で暮らしたい。
憧憬は募るばかりで、この牢を出ることさえできない自分には、どうにもできない。悔しくて歯噛みしていると、牢屋の入り口の方から、人の歩く音がし始めて、ドミニクは息を潜めた。
牢番か?
複数の足音が響き、ドミニクは身を起こしとりあえず今いる場所からなるべく入り口に遠いだろう、岩壁を探した。匍匐前進していると、闇が淡い橙色に照らされてくのがわかり、観念して床に座った。徐々に近づくひかりに目が慣れず、思わず目を閉じる。
「お、いた」
低い男の声が岩壁に反響する。恐る恐る瞼を開けると、目の前に茶髪の彫りの深い男がすぐ目の前にいた。入り口から離れたと思っていたら、ぎゃくに近づいていたようだ。
「お前がドミニク・エルーか」
「・・・そうだよ。僕がドミニクさ。あんたは?」
男は背が高く、明るいライトグリーンの目をしていた。きりっと太い眉毛にヨーロッパ系の顔は、どれだけ見ても見覚えがない。
男はドミニクの前にしゃがむとしっかり目を合わせた。
「お前と会うのは初めてだな。俺はフランソワ・ムーレという。よろしく」
男はそういうと、手に持っていたライトを下に置き、牢越しに手を差し出した。
ドミニクは差し出された手を数秒見つめて、もう一度目の前の男を見た。今時珍しい長身に、暗闇の中でも綺麗なライトグリーンの目がドミニクをじっと見ている。
この男は何しに来たのだろう。
判決を言いに来たのなら宜しくしなくていいからさっさと言って欲しい、という思いからドミニクはわざと差し出された手を無視して、フランソワに聞いた。
「やっとで僕の判決出たんだ。何? 死刑になるの」
そう聞くとフランソワは目を大きくして大げさに手を振った。
「違う違う! 」
「じゃあ、終身刑? ずっとこんなとこにいなきゃいけないの? それは勘弁してほしいんだけど」
「いや、それも違う! なんでそうなるかなあ」
フランソワはそういうと、頭を抱えて、ぶつぶつと「どうしたもんかなあーどう説明すりゃいいんだ」とひとしきり独語すると、勢いよく顔を上げた。
「ドミニク、お前は地上に出たんだろ。どんな感じだった」
「どんな感じって・・・」
唐突な質問に面食らいながらも、ドミニクは思いを馳せた。
どこまでも続く、青い、青い空に。
緑、茶色、赤色、橙色、白色、色彩の洪水を。
「・・・うつくしい、この世に楽園は確かにあったのだと感じさせてくれたよ」
ドミニクは一生涯忘れることはないだろう。あの、力強い景色を。人工的ではない、あの美しさを。
「そうか・・・。ならば生物はいたか?」
「生物?」
「鳥や、犬とか。虫とか」
「あんまり、覚えてない。いや、そこまで見れてない。ただ、あまりにも綺麗な空だったからそこしか見てなかった」
「そっかあ。そうかあ」
フランソワは柔らかそうな栗毛を片手でくしゃくしゃにかき回すと、長い溜息をついた。
「なんだよ」
わけがわからずに聞くと、フランソワは此方をちらっとみて、又溜息をついた。
牢屋という湿っぽい中、さらにじとじとと鬱陶しい対応をされると、無気力な人間でもやや気分を害する。
「さっきから何なんだよ。こちとら残りわずかな時間をあんたに使ってんだけど。あと罪状はどーなったわけ。どうでもいい前置きはいいから早く死刑なのか終身刑なのか、教えてよ」
苛立ちからぞんざいな態度になるドミニクに、フランソワは苦笑いする。
「そうカリカリするな」
フランソワは、自身が持ってきたこの牢屋唯一の光源であるライトを床におろし、ドミニクの目をひたと見た。
「ドミニク・ジュスタン・エルー、お前は、危険思想を持ち、尚且つ禁止区域へ侵入するという罪を犯した。裁判の結果、未成年故更生の余地ありとの判断が出た。よって、今後身柄をムーレ研究所預かりとし、生涯監視下に置くとする、となった。」
「ムーレ研究所?」
「そうだ」
「なにそれ、終身刑とかじゃなくて、その研究所でモルモットやれってことなの」
これならば、死刑の方がマシだと、フランソワを睨みつける。
「まあ、そんなところだ。俺はそのムーレ研究所の所長をしている。これから、長い付き合いになる」
フランソワは、ドミニクの睨みも涼しい顔して受け流し、ポケットから鍵を取り出した。
「睨みつけても状況は変わらんぞ」
「モルモットなんてごめんだね」
「お前に拒否権はない」
「全く理解できないね。僕のこと、さっさと死刑にした方が都合がいいんじゃないのかい」
フランソワはドミニクが問うても答えず鍵を開けると、「ほら、早く出ろ」と急かした。
ドミニクは此処に居座ってやろうかと一瞬考えたがすぐに思い直した。どんな理由にせよ、外に出れることには変わりはない。隙を見てモグラになろうと密かに思いながら、フランソワの後をついていくことに決めた。
フランソワの手によって呆気なく解放され、ドミニクはムーレ研究所まで連れて行かれた。
区11から区17は一般の居住区間だとすれば、区8から区10は研究所がひしめく区間だ。区10にささやかに存在するムーレ研究所は、ドミニクが思っていたよりも、広々とした空間だった。
「さて、ようこそ、我が研究所へ」
扉を開けた先は、広々とした空間で岩壁をくり抜いて作られている。とても原始的で、そして多くの人々が同じような作りの居室で過ごしているだろう。といっても流石に岩がむき出しの所に住んでいる人は少数だろうけど。
「此処が玄関だ」
フランソワはそのまま玄関をつっきり奥にぽっかり空いた先へと通される。玄関を少し広くした空間の中央に岩を平らにしたテーブルがあり、椅子も、岩で出来ていた。ここまで原始的な作りをしているのをドミニクは初めて見た。
「此処を俺たちは居間とよんでいる」
つい先程まで誰かがいたのか、コップと皿が散らかったまま置かれているのを見てドミニクは首を傾げた。
「あんたの他に、誰かいるの」
思いついた疑問をそのままいうと、フランソワは苦笑した。
「ムーレ研究所には、俺の他にあと三人いる。大体みんな、仕事部屋にいるさ。居間へは食事をするときくらいにしか居ない。」
フランソワはそのまま奥の方まで行く。硬質な金属製の扉には暗証番号を入力するタッチパネルがついていた。
『暗証番号を入力して下さい』
人工知能の女性の柔らかい声が促す。
フランソワに骨張った大きくて長い指が操作する。
『認証しました。おかえりなさい、フランソワ』
ピッと音がして目の前の無機質な扉が開くと、そこにはドミニクにとって懐かしさを感じる光景が広がっていた。
「おー、所長お帰りー」
能天気な声のしたほうを見ると背の高い痩せぎすの男が、乱雑に散らかった机に腰掛けて、資料を読み込んでいた。
赤毛のぼさぼさ頭を、かいてさらにぼさぼさにしている男に、フランソワは親しげに手を挙げた。
「やあ、アレク。進捗はどうだ?」
「どうもこうもないさー、君こそ例の彼は連れてこれたのかい・・・」
資料から目を離し、顔を上げた男はやっとでドミニクに気づいたようで、ぽかんとこちらを見たまま固まった。白い肌が驚きで赤く染まる。
ドミニクも思わず見つめ返す。
「少年、君の名はもしかしてドミニクかい?」
固まる男の後ろからもう一人男が出てきた。まるで長時間日焼けカプセルに入ってたかのような黒い肌に、焦げ茶の瞳の男だ。
「何だか僕のことを知っているみたいだね。そうだよ、僕の名前はドミニク。あんたは?」
「はじめまして、俺の名前はオーフェだ。よろしく、ドミニク」
健康的な肌の手で握手を求められ、ドミニクは手を出す。
横にいるフランソワが何か言いたげな雰囲気を出していたが、敢えてドミニクは、無視をした。
大柄なオーフェの後ろに隠れるように若い女性がいた。黒い髪に、吸い込まれるような黒い目の印象的なモンゴロイドの特徴が強い女性だ。
「はじめまして、ドミニク君。私はリ・シュウメイ」
「シュウメイ?」
「ええ。秋は明るいで秋明。漢字なのよ」
明かりに照らされとろりとした黄身のような肌を、桃色に染めて彼女は微笑んだ。
「漢字! あなたはアジア系なんだ」
「ええ。ルーツは中華人民共和国よ。確か君もアジア系の血が入ってるんじゃなかったけ」
「へえ。よく知ってるね。僕の母もアジア系で日本の血が入ってるよ」
ドミニクの事をよく調べている。
自分が全く知らない人が自分の事を知っていることに気味の悪さを感じながら、ドミニクは彼等の顔を覚えた。
「ちなみに俺はウガンダがルーツだ、と聞いている。といってもいろんな国の血が入ってるだろうけどな」
「アフリカか。じゃあ、ミトコンドリア・イヴの濃い子孫なんだ」
ネグロイドの特徴が強く肌が他のメンバーよりはるかに濃く存在感がある。
「アフリカの一人の女性に遡れると、そう言われてるな」
「ふーん」
「ウガンダがルーツと言っているが、祖先の一人がそこの出身だっただけだろうしな」
今時自分のルーツの国はここだけです!と一つにしぼれているほうが少ない。むしろ今はミルクコーヒーやミルクティーのような肌の色をした人の方が増えている。もちろん、ネグロイド、コーカソイド、モンゴロイドと大まかに人種は未だに分かれてはいるが。かつての国はもうなくなり、今は中央連合が中心となり、東西南北にそれぞれ地下に居住地を作り、人類は国も人種も関係なく暮らしている。
「そして、僕がアレクサンダーね」
赤毛のコーカソイドの特徴が強い男がにこやかに挨拶する。
「なーんか皆んなルーツも言ってるね。僕は、おそらくイギリスがルーツだよ。父親が純粋なイギリス人だと言ってたけど、本当かどうかはわからないなー」
よろしく、と握手を交わすと、ドミニクは全員の顔を見渡した。
「ムーレ研究所はこれで全員なわけ」
ドミニクの疑問にフランソワは奥で全員分の珈琲を淹れながら答える。
「そうだ。これからみんなで共同で暮らすことになる。仲良くしろよ」
粉末状のインスタントコーヒーに熱々に沸かしたお湯を注ぐとあたりに香ばしいような、何とも言えぬ香りが漂う。
「ほら飲め」
全員分の珈琲を配るとフランソワは脇に無造作に置かれたキャスターに座った。
それを見て各々キャスターに座る。アレクサンダーはドミニクにキャスターを持ってきてから座った。
「改めまして、ようこそムーレ研究所へ。歓迎するよ、ドミニク」
皆んな、ドミニクを優しい目で見る。
暖かな空気だ。だがこれも新しい研究材料にできる被験体への反応ならば、納得がいく。
所詮、ここへは監視付きで来た。フランソワは親切そうな顔をしているが、こいつは政府から新しいモルモットを与えられた、あちら側の男だ。ドミニクにはまだ此処から逃げ出すことも、逃走を手助けしてくれる仲間がいるわけでもない。
まずは、見極めなければならない。ムーレ研究所の意図を。そして、ドミニクが此処でとらねばならない振る舞い方を。
努めて冷たい声を意識してドミニクは口を開いた。
「歓迎、ね。僕はここで一生モルモットなんだろう。君たちは何をしてもいい実験体を手に入れたんだ。気分がとてもいいだろうね」
ふん、と鼻を鳴らして見渡す。
オーフェも秋明も、ぽかんと此方を見ている。フランソワは呻いて頭をがしがしとかき、アレクサンダーはぱちぱちと瞬きした。
復活したのはアレクサンダーが早かった。
「えーどーゆーことですかー。所長おー。なぁーんかドミニク君が怖いんだけど」
アレクサンダーがへらっと笑って茶化すのを睥睨してドミニクはフランソワへ視線を戻す。
「あんた達は僕に何をする気かはわからない。先に言っとくけど、僕は地上に出たことを悪いことだとおも・・・」
勢いよくドミニクは語ったが途中から喋るのをやめざるをえなかった。いつの間にか背後にまわったフランソワが口を塞いでたからだ。さらにオーフェが真剣な顔でデスクに置いてある端末に向かい、秋明も壁に備え付けられた五台の液晶を操る赤外線のキーボードをものすごいスピードで打ち込んでいる。
アレクサンダーが壁のコンセントに自分の端末と接続して、ひたすら何かを打ち込んでいる。十分ほど経っただろうか。いや、それとも然程時間はかかっていないのかもしれない。誰ともなく息をつきドミニクを見た。
間抜けにもずっと口を押さえられ、身動きが一切出来なかったドミニクを。
呆気にとられてただ見ているだけのドミニクの後ろでフランソワが深くため息をついた。
「はあー。全く勘弁してくれよ。どんだけ苦労してお前の監視役をもぎっとてきたと思ってるんだ。ほんっとーに勘弁してくれ」
はあーと深々とため息を吐くフランソワをオーフェが気の毒そうにみる。
その横でまだ端末をいじりながらアレクサンダーが応じる。
「いやあほんと。地上へ出る勇気というか馬鹿というか。なりふり構わない所があると思ってたけど、いろーんな所に政府の監視カメラが其処彼処に設置されている中生まれ育ったはずのドミニク君は」
くるっとドミニクを見てへらっと笑った。
「馬鹿正直に地上へ何の準備もなしに出て、政府のブラックリストに載ったであろう君が、また性懲りもなく危険思想を【シエル】の耳がある状態で言うからさー。僕たちものすごーく焦ったんだけど?」
青っ白い男がただ笑ってるだけなのに、ドミニクは政府の犬に捕まった時にはへっちゃらだった恐怖心が湧き上がってくるのを感じた。
「あ、今からなら君の、青少年の無鉄砲な、いや若き熱いしゅちょーをしてくれていいよー。外部と繋がる全てを締め出したからねえ」
へらっと笑うアレクサンダーを見てドミニクはじわじわと腹立ちを感じ始めた。
「急に何だよ!」
声を荒げれば、フランソワが頭をさらりと撫でた。
「まあ、落ち着け。いいか、ドミニク。俺たち国民は、特に科学者という人種は、だ。国の管理下に置かれてるもんだ。そして、お前はつい最近、禁を犯した。政府から目をつけられている。」
そんなことわかっている。そう言いたいのを飲み込んでドミニクは続きを促した。ついでに頭を撫でる大きな手を振り払うのも忘れない。
「そして、俺たちの生活を支えるものがある。この、」
そう言ってフランソワが見せてくれたのは国民は必ず持っている携帯端末機だ。
「テレフォン型の携帯端末機。もしくは腕時計型のもあるな」
それだけじゃないわ、と秋明も加わる。彼女はさっきまで自身が弄っていた五台のパソコンを指す。
「あれも、ここのセキリュティも全て、一つの人工知能が管理してるわ」
「君も常日頃恩恵にあずかってるでしょー。自分のスケジュールを管理してもらったり、温度調整に、体調管理とか」
アレクサンダーがそばかすの散る鼻をかきながら言う横で、オーフェも穏やかに微笑む。
「そう。常に俺たちをサポートし、管理して、監視している。人工知能【シエル】だ。」
優しい声音の、耳に馴染んだ女性の声を、ドミニクは思い浮かべて、そして、顔を顰めた。
「まだわからないかなー?」
アレクサンダーの声に嘲りの色が混じる。
それに少し気分がささくれ立つが、ドミニクは無視して続きを促す。
「僕たちのことを【シエル】が常に監視している。僕たちの親愛なる母上がね」
笑うアレクサンダーの冷たい視線に、ドミニクは背筋を凍らせた。
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