第16話元勇者は、生徒会副会長に借りを作る。魔王学校 1年目(4月16日)
「2人がそういう関係だったとは、知らなかったのだよ。
すまない。
どうすれば、2人の邪魔をしたことを許してくれるだろう……」
生徒会副会長のフミは、楽しそうに話す。
すまないと言っておきながら、確実に楽しんでる。
「では、早く出て行ってください。
これから続きをしますので」
ユイが、なぜか真剣な顔をして言う。
冗談ではなく、本当に行為の邪魔されたことを怒っているのか?
というか、状況判断を間違っている。
「わかった」
フミは、短く言い。振り返った。
薫は、(この状況で、『わかった』は、おかしいだろと心の中でつっこんだ。魔界の学校は、こんなことで校則違反にならないのか?
だから、フミは薫達をからかっただけで帰って行ったんだ。本当によかった。)と思っていたら、フミは、再度振り返り、薫達の顔を見てきた。
「そうそう。
校則からすると、退学になるかなっ。
いや、まだ行為にいたってなさそうだから、停学処分くらいかなぁ〜」
フミは、考えるポーズを作りながら、楽しそうに話す。
(この状況ってやばいんじゃないか?つうか、最初から言ってよ。校則違反にならないと思ってよろこんじゃったじゃないか)
ユイにも、ようやくヤバイ状況がわかってきたらしく、薫の上から降りた(名残惜しそうに)。
「「すみません」」
薫とユイは2人であやまった。
ユイは、まだ誤解したままだろう。だが、誤解を解いている暇はない。
誤解を解く前に、学校から処分されないようにしなければいけない。
薫のピンチは続いている。
勇者だった時とは違うピンチ。情けない。昔の仲間に見せられない。
そもそも、魔界の学校に校則がある方がおかしい(いっそうのこと、開き直ってみるか?ダメだ。今までの苦労は無駄にできないし、必ず卒業しなければいけない)。
薫がそう考えていると、フミが助け舟を出してくれた。
「まあ、男女2人きりになって、ベットがあれば、そういう気分になる時はあるさっ。
今回は、2人に貸しだ。
黙っておいてあげるかわりに、いつか貸しを返して欲しい」
「わかりました」
この状況で、薫は、「わかりました」としか言いようがない。借りを作るのは嫌だ。何を要求されるかわからない。でも、仕方がない。
「よろしい」
と言い、フミは、保健室から出て行った。
フミがいなくなったあと、ユイが、
「フミさんに、借りを返すとしても、エッチなことはだめですからね」
と、真剣な顔で言ってきた。
ユイなりに真剣な話をしてくれてたのだろうか?
(方向性が間違っているが……)
早く誤解を解かないといけないと、薫はそう思うのであった。
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