38話:四神朱雀
腕の振りに合わせて、マナの塊が刃となって風を蹴散らす。
器用に背面飛びで
雨宮が逆の手を掲げ
「ふむ、もう対応してくるか。やはり
即座に
キサが雨宮を引き付け、その間にユイが真下を取る。
頭上に構えることで
「
超高速で放たれる
キサの斬撃を
直上からの攻撃に、雨宮は領域
炸裂させたことで結合が甘くなり、マナが奪われる。雨宮がそう来ると読んでたキサは躊躇わず懐に飛び込む。定点領域は
ユイの
膨れ上がった風雷剣から送り込まれた魔力ごと風を解き放つ。ただの雷剣となった一閃が雨宮に襲いかかる。
「この若さでA級上位にいるだけはあるの。才能だけでここまでやれるとはの」
「そりゃどうも!」
あくまで自然に、しかしそれでも先ほどまでの余裕な回避ではなかった。大きくスライドし、慌てて避けた格好だ。
防御に優れた
あえて風を解いては再度かけ直しての乱切り。当たりはしないものの確実に雨宮の動きは精彩さを欠いていた。ここにユイとアイヴィーの遠距離攻撃が織り交ぜられ、ショウは高速で位置取りを変えながら牽制を挟む。
最初に違和感を覚えたのはショウだった。
あまりにも当たらなさすぎる。キサの連撃をあれだけの至近距離で回避し続けるのは、舞踊を扱うショウでも無理だ。仮に師であるシグレでも果たしてできるだろうか。この疑問を抱いた瞬間、雨宮の圧倒的な回避力のカラクリに気づいた。見上げることでスカートの中が露わになる、その秘密に。
三次元戦闘を得意とする雨宮だからこそ、あれだけ裾の長いスカートでも支障がない。つまりは、ショウたちをなめている。――これが完全に間違っていた。雨宮が口にした通り、ワンピースは彼女にとって最強の戦闘服だったのだ。
「キサ! 離れろ!!」
「覗きとは褒められた行為ではないが、もう遅い」
迫りくる
致死量のダメージを受けたことによる強制退場。
突然の形勢逆転に三人の攻撃の手が止まる。
「よう、最初に脱落したのは
観戦していたシュラの隣に、キサが出現する。ただし、その身体は観戦者モードの半透明なものだ。
信じられないといった感じでキサは宙に浮かぶ雨宮を睨みつけた。
「妾は特別に実演しようと言ったはずなのだがの」
ここで全員が理解する。視認できるようにしていただけで、本来マナの塊である
「さて、改めて言ったおこうかの。賢者に求められるのは戦闘能力ではない。結果を出せるかどうか、この一点に尽きる。その試験への参加を特例で認めようと言うのだから、それを見るのは当然であろう?」
三次元戦闘に定評のあるキサが退場したことで、雨宮はゆっくりと降下し地面に降り立つ。
ハンデという言葉を使った瞬間から、すでに戦いは始まっていたのだ。ワンピース姿、
手抜きなど一切していない。あくまでハンデとして明示したのは四人がかりで一撃入れたら、という一点だけだ。勝手に拡大解釈した。否、そうなるように情報戦を仕掛けてきていたのだ。
手を抜くどころか、本気で狩りに来ている。
「残り三人。さあ、どこからでもかかってきてよいのだぞ?」
地上に降りてきたことで先天性魔力異常の優位性が半減する。領域が狭まることによるものだが、動きにくい服装も相まって最大の好機というのが通常の見立てだ。
しかし、この期に及んで、そう考える人間は誰もいない。
「アイヴィーさん、ユイさん気を付けてください。あのスカートは本気でヤバいです」
「どういうことだ?」
視線は雨宮から切らず、ユイが問う。
「視覚的に足運びを隠して、重心を意図的にずらしてるんです」
「なるほどな。あの回避率の高さは攻撃を誘導させられていたということか。道理で当たらんわけだ」
「それだけじゃないです」
「何? どういうことだ?」
「スカートの中に風を充満させることで、魔力感知もできないようにしてます。それに、スカートの動きを気流で操作して、身体の動きを誤魔化してるんです」
ショウの台詞を聞き、キサは何をされていたのかを理解した。
「大げさに避けてるように見せかけてただけってことか」
「だから言ったじゃねぇか。あれは基本の鬼だってよ。油断していい相手じゃねぇんだよ、あのロリババアはよ」
雨宮に地中のマナを取り込む領域
制空権を取ることの優位性も現代魔法の戦術からすれば不利に働く。戦闘がより高速化してきた要因は、詠唱を如何に途絶えさせるかに終始してきたからだ。誰だって目の前で凶器を振り回されれば冷静でいられなくなる。更には、無呼吸運動が必須の近接戦で、発声を必要とする詠唱は相性が悪い。
言い換えれば、全体的に魔法使いは近接化の道を辿ってきたとも言える。つまり、アイヴィーやユイの戦闘スタイルは珍しい部類どころか、実力が伴っているだけ希少種に数えられる。
そして、ここに大きな罠がある。
先天性魔力異常を相手にする場合、領域の広さで大気中のマナを奪われるリスクが高くなる点だ。そのため、キサ並のずば抜けた実力がなければ、近接戦はむしろ悪手とされている。
「ユイっち、援護任せるよ! 《生命を育みし母なる大海の化身よ――」
両手で杖を握りしめると地面に突き刺す。不意をつく詠唱。
即座に雨宮が反応する。
雨宮が手を動かし、対処しようとしたところでショウが急制動。再突入と同時に、空気の炸裂音が鳴り響いた。音の方角にいたのはアイヴィーだったが、変わらず詠唱を続けている。
「定点領域か。さすがはアイヴィー=バセット、対処が早いの」
同じ広域展開の使い手だけあって、同程度のマナを集めてこれるアイヴィーだからこそできる防御だ。知識がなかっただけで、そういう使い方ができると知れれば真似するのは容易い。
間合いには飛び込まず、雨宮の動きを注視しつつショウが牽制する。
そこへ飛び上がったユイが弓を引き絞った。上空からの
全方位を防御できる
直上に展開された羽を見て、ショウが攻める。
雨宮のギリギリ間合いの外。身長差、リーチの差を利用したショウの攻撃だけが届く位置。もちろん手を伸ばせばいなされるが、投げ飛ばされることはない。頭上の羽が邪魔をして精々投げられるだけだ。
ユイが
「――原初より
二節目の詠唱を終え、雨宮の顔がわずかに歪む。
自身の魔力だけで魔法を成す自発があるなら、大気中のマナを使うのは領域展開という。だが、実は更にもう一つ上が存在するのだ。それこそ大気中のマナを使って、領域を拡大する多段式領域拡張。二段階に渡って領域を拡大するだけあって集められるマナは多くなるが、ワンテンポ動作が遅れる弱点がある。それをショウとユイが補う。
理論上、雨宮も多段式定点領域拡張で対応すれば防ぐことも可能だが、ショウの
殴りかかるショウの腕を取り、流れに沿って投げると雨宮が離脱した。
羽盾を背中に戻したところで、降り注ぐ雷撃を領域
肝心の詠唱はまだ三節目に差しかかったばかり。打てる手はなかった。それがアイヴィーでなければ、だ。
詠唱の失敗。雨宮の攻撃を避けることができない、そのタイミングでアイヴィーが動いた。
二人の間に出現した巨大な津波が雨宮に解き放たれる。
アイヴィーの
魔力の過多にものを言わせて強制的に術を中断、発動させる凶悪な技術。
C級大魔導士止まりだったアイヴィーを、A級にまで押し上げた技こそ、この
詠唱を止める最善手が近接戦闘である以上、自ら敵に突っ込む必要がある。そこへ回避不能のタイミングで広範囲殲滅魔法を撃たれれば、確実に被弾する。それは言い換えれば、アイヴィーを相手取る時、決死の突撃を余儀なくされるのだ。
今までのアイヴィーは、これを
最初から
三節目の途中とは言え、その威力はすでに並の術師の
アイヴィーの
雨宮は避けられる距離を、アイヴィーは当てられる距離を想定して動く。どちらの読みが上回ったのか、津波が迫る中、雨宮が翼を目一杯広げた。
翼で風を受けての急制動。更に重力場を発生させ、壁を蹴る要領で方向転換。同時に羽ばたき超高速の鋭角ターン。直上へ飛び出した雨宮は、津波の高さを越え中空から
「させるか!」
空中に陣取っていたユイの高速射撃。それを
その隙に雨宮の真横に跳躍したショウが
「ユイっち! 受け取れ!」
大気中のマナがなくなった一瞬を突いて、アイヴィーは自身の定点領域を使い領域を拡張する。それをユイに領域浸潤で受け渡す。
一時的に大気中のマナが広範囲に渡って消滅。こうなると更にその周囲からマナが流入するまでにほんの数舜のタイムラグが生じる。この間、雨宮の領域技は全て封じられる。
「
「定点領域」
雨宮がユイに対処しようと目を離した瞬間、アイヴィーが広域展開する。これまでの防御に用いるやり方から全開で広域を展開した状態での定点領域。普通なら全く意味のない行為だが、先天性魔力異常持ちが使う場合は違う。
強制的に自発勝負を持ちかけられるのだ。
アイヴィーの定点領域に疎外され、周囲からのマナの流入が止まる。
「
属性の多くが魔力体である中、地属性は実体を伴うことがある。形状を維持しなければいけない魔法であっても、地属性を主体とすれば効果だけを付与することで、より多くの魔法を重ねがけできる。
勝負を仕掛けてきたと、雨宮はより一層の警戒を強め、即座に優先順位をつけた。
この戦いで一番の危険人物がアイヴィーであると即決した雨宮は、急降下からの突撃。
それをアイヴィーが杖を構え迎え撃つ。
「《生命を――」
ここでアイヴィーが二択を迫る。
仮に撃てなかったとしても、
「
読み合いを嫌った雨宮は、互いの視界を遮る形で羽を前方に展開させ、羽盾を蹴る。反動で転進し、狙いをユイへと変更。
「
進路を塞ぐ形でショウが割り込み、目くらましに使った羽盾が背中に戻る。
今までとは逆に、ショウが構えて待つ。
構わず突っ込んでくる雨宮に拳を振るうも、更に下に潜られ、跳ね上げられる形で放り投げられる。勢いそのままに雨宮はユイへと突っ込む。
「
四属性の特性と威力を内包させた矢を射る。同時に発動する
真っ直ぐ飛来する攻撃を躱すことなど造作もない。身体をずらし避けたところで、爆散。互いにこの一手は既定路線であり、雨宮が領域
「
結合を解かれたのは最後の
これを
命中精度の低いショウの投擲では、まず当たることはない。そうなれば考えられる手は限られる。至近距離からの命中重視の投擲。五重強化の恩寵があれば天使の加護の高防御を貫通する。
取るべき選択は避けの一択。
身を捻り回避した雨宮目掛け、ユイの正確無比の一撃が飛来する。こちらは羽盾で防ぎ、ショウの追撃に備えるも、彼も彼とて迂闊に攻めるほど馬鹿ではない。
ユイの
これを更に領域
「仕方ない。本気だ」
空気が変わる。
危険を感じ取ったショウとユイは、羽ばたき空中へと移動する雨宮に手出しできず見送る。
羽を広げ、静止した雨宮が視界に三人を収めると静かに口を開いた。
「よもやここまでやるとはの。少々見くびっておったことは認めよう。しかし、お主たちの強さの基盤は、あくまで経験値と才能によるところが大きい」
雨宮の言い回しにショウは首を捻る。
「どういうことか、わかりますかユイさん?」
「あるとすれば連携や戦術だが、即席でこれだけできれば十分だ」
「足りていないのは一つ。圧倒的基礎能力だ。特に風間翔と浅輝葵沙那」
順に指され、雨宮の瞳を射抜く。
「その若さだ。見てくれのよいものに強さを感じても無理はない。より高位の魔法、必殺技が強さの指数になっておらんか? もっと階位の上の大魔法が使えれば、一撃必殺の技があれば、魔王にも楽に勝てたと思っておらんか?」
容赦ない無遠慮な物言いに、二人は口を
遥かな高みから心のうちを見透かしてくる雨宮に、反論の余地はなかった。実力不足を痛感し、新技の開発に意識が向いていたのは事実だ。
むしろ、そう思うのは自然の流れだ。話術による雨宮の策略はすでに身をもって体験していたが、それでも深々と突き刺さる口撃に、思考が持っていかれる。
「妾が今使っておる風、闇、天の
ここへきて雨宮が初めて前傾姿勢を取る。
「おいおい、まじかよ。ロリババアの野郎、四神を出そうってのか」
「四神?」
顔を引き攣らせるシュラにキサが訊ねる。
「ロリババアの四大秘奥義だ。どれを出すかわからねぇが、やり過ぎだ。合格させるつもりなんざ毛頭ねぇってか、あの野郎」
悪態をつくシュラに、すでに脱落したキサは残る三人を見守るしかできない。
何が来るのか、ショウとユイが最警戒で構える。一人離れた位置にいたアイヴィーは雨宮の長い講釈の間に、すでに詠唱を完成させ、あとは魔力を開放するだけの段階で待機していた。
「いくぞ、
羽ばたく。優雅に飛び交う鳥のように雨宮は上空を旋回。翼を動かすたび速度を上げ、気流を操作することで相乗効果を生む。
「くっ、なんて速さだ!」
「嘘だろ。気流操作で風の抵抗を消すどころか、推進力にしてる!?」
アイヴィーの広げた定点領域の更に外周円上を飛び回ることで、視界から切れる。追えない速度ではないが、背後に回られれば首を逆側に振る際、見切れる。
これはまずいと、ショウとユイは顔を見合わせると、迷うことなくアイヴィーの元へと駆け付けた。
「アイヴィー準備はどうなってる?」
「問題ないよ。いつでも撃てる」
「期待してますよアイヴィーさん」
「任せなさい」
三人は背中合わせに雨宮を視界に捉える。互いが死角を補うことで対抗するも、雨宮の速度は衰えないどころか、更に増していく。
「まだ加速すんのかよ」
ショウが愚痴を零した瞬間、爆裂音と突風が吹き荒れる。
「ソニックブーム、音速を越えてきたな」
「さすがにこれが限界でしょ」
どこからでも来いと三人は構える。
雨宮自身が言っていたように、いくら速度があっても直線的な動きは捉えやすい。当然、アイヴィーの津波を躱した超高速鋭角ターンがあることは織り込み済みだ。あの速度でのターンは、より速い段階から急減速しなければ回避は不可能。
あれだけの自信だ。これで終わるとは誰も思っていない。何がくる。そう固唾をのんで見守る中、遂に雨宮が動いた。
「
領域展開によって集めたマナを手元ではなく、進行方向に集約する。
三人は一瞬クウェキトの弾丸移動かと勘違いしかけたが、雨宮の技はそんな生易しいものではなかった。
マナの塊を使い反発する弾丸移動と違い、本来足元に出現させる重力場に変換したのだ。中空の重力場の横をすり抜ける前後で一気に加速する。
「いやいや、ちょっと待てちょっと待て、いくらなんでも嘘だろ」
「こりゃ参ったね」
「全くだ。さすがに想定外が過ぎる」
重力場を通り過ぎる度に加速を繰り返し、強化系魔法で底上げしている動体視力でも完全に捉えられなくなってきていた。
その速度は音速を遥かに越え、極超音速に達しようとしている。
「ユイっち、素直に感想言ってくんない」
「そうだな。師匠の紫電一閃並だ」
「げっ、それってマッハ五ってことじゃないですか!?」
「――! くるぞッ!!」
雨宮の旋回軌道に変化が見えた。速度がある分、ショウたちに攻撃を仕掛けるには角度を大幅に変える必要がある。その瞬間を見逃さなければ、迎撃は可能。
体がわずかに強張り、汗が頬を伝う。次の瞬間、雨宮が鋭角に軌道を変え、突っ込んで来た。狙いはアイヴィー。
「極超音速特攻――四神・朱雀!」
真っ直ぐ突っ込んでくる雨宮に、アイヴィーは真っ向から受けて立つ。
完了させていた
「なっ――!?」
力尽くで破ってくる雨宮に、アイヴィーが硬直する。やられる、そう誰もが確信する中、ユイがアイヴィーとショウを突き飛ばした。
「ユ—―」
投げかけられた言葉は風圧でかき消され、倒れるアイヴィーの視界の先で、ユイは朱雀の直撃を受け――消滅した。
けたたましい暴風が、あらゆるものを薙ぎ払い中空に投げ出し地面へと叩きつける。
「がはっ――あー、くそ、まじかよ……アイヴィーさん大丈夫ですか!?」
「うん、大丈夫、ユイっちのおかげで助かった」
直撃は避けられものの、衝撃波で大きく吹き飛ばされた格好だ。
五重強化を施してたショウですら目に見えたダメージを負う中、アイヴィーは立ち上がろうとして一瞬よろける。
慌てて抱きかかえるショウに、アイヴィーは「ありがとう」と返し、支えられながら立ち上がる。
直撃を回避していてこの威力。全身の毛穴が閉じるほどの恐怖を抱き、ショウは空を見上げる。
「次はないですね」
「そうだね」
再び旋回を始め、加速する雨宮。先ほどの一撃から次の攻撃までに多少の時間はあると、ショウとアイヴィーは並び立ち、最後の打ち合わせを始めた。
「たぶん、戦力的にもショウの試験って意味でも狙いは私だね」
「そうなりますね。てことは、少し離れてましょうか? 僕の移動速度ならギリギリ対応できると思います」
「私を狙ってきたところを側面からアタックするってこと?」
「はい」
悪くない戦略だったが、アイヴィーにも考えがあると却下する。
「私が何とか隙を作るから、そこを叩いて。無理なら無理で潔く負けよう」
「そう、ですね」
笑って返すショウは、同時にやられないようアイヴィーから距離を取る。いつでも飛び込めるよう地面を踏みしめる足に力が入る。
息を大きく吐き、気持ちを落ち着けたところで、雨宮が最後の攻撃を仕掛けてきた。
想定していた通り狙いはアイヴィー。それもこちらの意図を見透かした上での突入角度。ショウからはもっとも狙いやすいやや斜めから入る直線上。
やれるものならやってみろ、という暗示にショウも動く。速度差がある分、アイヴィーの迎撃を見てからでは遅すぎる。
アイヴィーの元へ飛び込む雨宮とショウ。
「定点領域!」
選んだ策は予想外なものだった。
ショウだけは迷わず突っ込んだ。
七年間の信頼関係が、ショウを突き動かす。
雨宮が定点領域を蹴散らした瞬間、全員がアイヴィーの賭けに気づいた。
「
炸裂させる刹那、圧力をかけることでマナの爆弾にする
気流を纏う雨宮は言ってしまえばマナの塊。領域に引っかかるが故に、接触した刹那、自然と圧力をかけてしまう。自ら割りに行くことでマナの爆弾を起動させてしまったのだ。
風を纏い羽ばたくことで速度を出すなら、当然暴風を受ければ、気流は乱され、翼が煽られる。
勢いそのままにアイヴィーは雨宮の攻撃で消失するも、制御を失う。
必死で気流をコントロールし、翼の向きを変え立て直す。そこへショウの
回避するには領域を展開することで大気中のマナを奪い取ることだが、今そんなことをすれば、バランスを立て直すための風を失い地面への激突は避けられない。
「してやられたの……」
「いっけええええええええええええ!!」
キサの声が木霊する中、ショウの攻撃が遂に雨宮に届いた――
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