フローレスの庭
関怜
プロローグ
二〇五五年、日本は少子高齢化も行き着くところまでいきました。
統計学の本の年齢と人口比率のページを読めば、見事なまでに逆立ちをしたピラ
ミッドがそこに書いてあって、それがそのまんま今の日本です。
こうなると必然的に福祉は手厚くなり、高齢者サービスは国内産業の根幹をなす
サービス業とまで成長しました。
そこで発生するのは当然のことながら、看護介護職者の不足。
中でも看護師は医師の治療の補助という分野とは別に、各種専門性に特化され、
また介護環境の維持という重責を担う事となってしまいました。
時の政府と厚生労働環境省は、看護師の必要数を得るため、僅か一年で取得できる初級看護師制度を制定、そして資格年齢の引き下げを行った結果、看護師の人数は得られたものの当然のごとく質は低下、数多くのインシデントと、さらに不幸なアクシデントによって、初級看護師制度は廃止となりました。
本日皆様にお見せしますのは、三年前にその代案として新たな制度が開始された全寮制の高等看護学校が舞台。
高等学校普通科課程に看護専門課程が組み込まれ、卒業時には普通科卒業と看護師国家試験の受験資格を両方取得できるのが特徴の新しい高等学校。
現在、日本の一県に一校はこの高等看護学校があり、そこでは少女達が日々看護師を目指して日々勉学に励んでいます。
このお話の舞台は、神奈川県川崎市の北部にある菅高等看護学校、その二人の女子生徒のお話です。
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