第27話かたりべちがい。
俺が向かう先は、たしか友人の彼女(?)の家だ。 なんか、今日はもうひとり、俺の知らない女の子が来るらしいけれど、まぁ俺は、そんなに緊張とかする方でもないし、普通にしてりゃ大丈夫だろうな、なーんて、頼まれていたジュースを選びながら思う。
ここは、目的地近辺のスーパー。
いちご牛乳、オレンジジュース、麦茶はいつでも冷蔵庫に入ってたはずだから、買わないことにして、紅茶のペットボトルの大きいやつ。 適当にぽいぽい買い物カゴに詰め込んでいって、あぁ、あいつらアイス好きだったなぁ、って思い出したから、最後にアイスコーナーへ向かう。
「……。 ふむ」
どれが好きなのか、アイスの好みは聞いていなかったし、適当でいいか。 そう思って、結局、俺自身が好きなサイダーなんちゃら、みたいな名前のアイスを選ぶ。
特に、他に買うものも、今のところは思い付かなかったので、お会計。
「ありがとうございます」(ニコッ)
「いえいえ」
レジのお姉さんが美人だったので、つい返事をしてしまって、ちょっと後悔。 でもしあわせ。
「936円になります」
「あ、袋おねがいします」
「はい、お会計変わりまして941円です」
「はい。 ども」
ここのスーパーは、地球温暖化の対策か何かで、エコを考える、みたいなやつやってて、それでレジ袋が有料になっている。 俺は1000円札を出して、お姉さんから59円のお釣りをもらう。 貰ってから、一円財布にあったなぁなんて、思い出したけどもう遅い。
買ったものを袋に入れて、精算済みの黄色のカゴをカゴ置き場に重ねて店を出る。 そして、自転車置き場に行って、俺のマイバイクに鍵をさして、スタンドを上げて、やつの家の方へ出発進行ー。 あ、「俺のマイバイク」ってのは、重複してておかしいなぁー。 ま、いいけど。
ところで、あのふたりはいつから付き合ってんだろ? それとも付き合ってないの? 俺が知る限りでは、大学に入ってすぐのころからずっと一緒にいる気がする。
うーん。 実際、どういう関係なんだろ……? すんごい気になるけど、普通に聞く訳にもいかねぇーよなぁー……。
そんなことをぐるぐる、漕いでいる自転車の車輪みたいにぐるぐる、ぐるぐる考えながら進んでいると、いつの間にか目的地である「彼女」の家は、すぐそこに見えていたのだった。 ま、またいつでも聞けるような気もするけど……。 気になるふたりの関係性は、知りたいような、知りたくないような、複雑な気持ちだ。
さて、それではニコニコと、今日も今日とてノックもインターホンもせずに、唐突に扉を開け放ってやりますか!
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