第22話ざんきぜろ。

っちゅーことで、キロん家到着。 別に道中なにかあったとか、摩訶不思議な冒険や、事件に巻き込まれるとか何にも無い、普通の日常の風景。

「で、今日は何するの?」

玄関をあがってまずは今日の予定を訪ねる。

「んー、なんしよーかねぇ」

キロはこちらを見ずに靴をほっぱらかしてあがってくので、俺はその靴を揃えながら、「ゲームって、ボードゲーム?」と聞いてみる。 女の子の家にあがるというトキメキシチュエーションを、もう感じなくなっていることに、若干の寂しさが無いわけでもないが、見た目美少女のキロと仲良く出来ていることで、まぁ、良しとしてしまう。

「んー。 シューティングの気分かなぁ……」

「何も決めてなかったのか?」

そういえば、今日誘ってきたのはキロからなので、そこをなんとなく不思議に思う。 キロが何も決めずにゲームに誘うことなんて、サークル活動以外には今まで無かったのだ。

「あ、いや。 まぁ、そうだね。 今日ひさしぶりに活動日にしようと思ったけどいつもの教室あいてなくてさー」

つまりそういうことらしかった。 今日活動日にしようと思ったけど、教室とれず。 それならなんとなく納得できる。 なんで中止にしなかったかは分からないけど、まぁ、キロのことだから単にゲームがしたかっただけかもしれない。

キロは、ゲームの電源とか、ディスクとかディスプレイの電源とか色々準備を進めてく。 四つん這いで、俺の位置からだと尻ばかりが目に入り、なんとなく目のやり場に困ってしまう。 ツインテールもピョコピョコ。

「っし、できた。 はじめますか」

こちらを向いて2P用のコントローラーを手渡してくれる。

「おっけ」

俺はコントローラーを受け取って、キロの隣に胡座をかいてモニターを見ると、もうゲームが始まっていた。え、もうはじまってるの!?

「って、はやくね!?」

「いや、だからはじめるって」

「言ったけど、急すぎ! しぬしぬ」

言ったそばから俺の機体は敵の攻撃にあっさりやられてしまう。

「もぅ。 はやいよ。 ザコ(ボソッ)」

「おい、今なにか言ったかぁー?」

「なーんにも。 ザコ(ボソッ)」

やっべぇ、泣いちゃいそう。これ以上このことについて言及すると俺の精神が持たなさそうなので、半泣きのままモニターを見つめる。精神的な意味での半泣きなので、実際泣いてるわけじゃない。 断じて違う。

「これ、復活とかねぇーの?」

「あぁ、このステージ1を私がクリアするか、私の機体が撃破されるかで2P出られるよ」

「じゃ、頑張ってクリアしてくれ」

そう言って、俺は勝手知ったる感じで麦茶を二人分用意しに行く。 多分あと5分くらいは暇なんだろうなぁ……。

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