第20話おわったら……。

「んで、今日何時くらいに授業おわるの?」

俺が順調に昼食のサンドイッチを食べ進めているとキロが水を一口のんでそう言った。

「ん、1時から90分だから2時半くらい? なんで?」

「待ってよーかなーって。 うん、図書館いてるから、終わったらゲームしよーぜ」

キロから誘うってのはなかなか無いことなので、もちろんおっけーの方向で。 そんな感じで、講義終わったらゲームしようと緩く約束して、またサンドイッチを食べ進める。 あ、もう食べ終わりだ。

「んじゃ、そろそろ図書館行くね」

言って、キロは立ち上がり、バッグを手に取った。

「おう、もうそんな時間か」

時計を見ると講義開始まで、あと10分くらいまで迫っていた。

「じゃね」

そう言って、キロは席を後にした。

「……」

まぁ、俺ひとりでこの人の多い食堂に居続けるのもなんだかなーって思ったので、手早く昼食を食べ終え、そのゴミとバッグ、それから飲み残している牛乳パックを手にもって、その場を後にした。

次の講義の教室は、先ほどの講義室とは違ってA棟にある講義室だったので、さっきとは違う方向へと進む。片手に持ったパック牛乳をちびちび飲みながら進んで行くと、中身が思いの外早く減っていって、講義室に着いた頃には、もうからっぽになっていたので、講義室の前にあるゴミ箱に捨てて教室へ入る。 この講義では、とくに知り合いという知り合いもいないので、適当に座る。 知り合いがいる講義なら、そいつを探して近くに座ったりするけど、いないんじゃ、それはできないし。 まぁ、近くに座ったやつと、少し話すくらいの社交性は、俺にだってあるが、はたしてその、近くに座って話すヤツが友人なのか。 なんだか、俺が非常に冷たい人間のように思えてきたので、この話はストップで。

先ほどの講義室よりも、この部屋の方が近かったのか、まだ少し開始まで時間があった。 近いってのを知ってる学生も多いためか、まだ講義室の席は空いていて、前の方の席なんてガラガラに近い状態だった。

そういえば、なんでみんな前の方に座らないのだろう。 別にどの席でもたいして変わんないのに。 まぁ、俺は後ろに座るけどね。あ、みんなこーゆー考えでいてたら、そりゃ後ろが先にうまって、前の方は空席が目立つようになるか! 納得。 自己完結。

また前みたいにぼーっとスマホ見ながら時間を潰して、講義が始まるのを待つ。 キロは今日どんなゲームをするのかなーとか考えながら、講義の終了を心待にする。

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