第8話おかいもの。

一歩、また一歩と目的地であるスーパーの方へと近づいて行く。このペースだと、あと数分で着くかなーとか思いながら、頭の別の所では先ほどのサキちゃんの質問の答えを考えている。

うーん。なかなか困った質問だ。難しい。俺の住所をそのまま答えるのは簡単なのだが、それではどのあたりかがイマイチ伝わらない場所に俺の実家はあるのだ。市の境目、とでも言うのかな。

「うーん。 ここから電車で5駅くらい行って、そっからバスで15分くらいで、あと残りは歩き、6分くらい」

 とりあえず、ここからどうやって行くかで、そのまま伝えてみる。それが一番伝わりやすい気がした。

 多分、住所とかよりは分かりやすい、かな?

「へー。 ごめん、全然わかんなかった」

 うん。そりゃそうか。しかたがないから、俺は実家が市の境目あたりにあることとか、住所から想像される町並みと実家の町並みとは少々乖離していることなど、そのまま説明してみた。

「なるほどー」

 サキちゃんは、フムフムといった表情。納得してくれたみたいで良かった。そう思っていると、

「まーだ分かんないや」

 と言っててへへと笑った。かわいい。いやいや、納得というか理解出来なかったらしい。もしかして、アホの娘かな?

そんな感じで、他愛ない話をしているうちに、目的地のスーパーが見えてきた。どうやら、俺の、分かりにくい実家の場所の話に思いの外時間をかけてしまったらしい。

「着いたよ。 ここ」

「うん、着いたねー」

サキちゃんは、そう言いながら買い物カゴを手にとって自動ドアへと直進。

さすがに荷物を持たせるわけにはいかないと思ったのでカゴを持つのを変わる。なぜかサキちゃんニコニコ。

アイスの売り場がどこなのかは知っているので直行しようかと思ったけど、やめる。

「なにか買うものある?」

何か買うものや見るものがあるのなら、それを先に済ませてしまって、アイスは少しでも長く冷えていた方が良いかなーって思ったので、サキちゃんにも話をふってみる。地味に俺かしこくね?

「あー、飲み物とか?」

「なぜに疑問文?」

「サトウ君も 疑問文ジャン」

「た、たしかにー」

なんだか、俺もサキちゃんも慣れてきたらしく、会話がどーでも良い内容だけで成立するようになってきてしまった。

で、どーでも良い会話がどんどん増えてきたので、ここからの買い物中の会話の描写は、割愛。

だいたいさっきの、ってか、今までの感じが5分くらいと思っていただいて問題ないです。はい。

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