第43話 中の変化
「おお、リュウヤ久しぶりじゃのー」
「ああ、ラック久しぶりー。ごめんねメッセでも言ったんだけど少し忙しくなって」
「うむうむ、仕事は仕方ない。彼女のためにもキリキリ働くのじゃ。
そのミーナ嬢はどうしたんじゃ?」
「あ、もうすぐ来ると思いますよ。彼女も楽しみにしてたんで」
「ごめんごめん。お待たせー」
「おやーラブラブのミーナちゃんじゃなーい。なになに~リュウヤといちゃいちゃしてたから遅れたのー?」
「ケア、中身的にセクハラじゃぞ」
「ロールプレイ的にはセーフよ」
「残念ながら普通に遅れただけですー」
そんなわけで、リフクエに入っている。
仕事を開始してからは基本的に夜だけのプレイにするつもりだったんだけど、慣れない仕事で疲れて、しばらくin出来ないでいた。
瑞菜と俺も両方休日だったので久しぶりにデートじゃなくてリフクエをするのが俺たちだ。
「ふっふーん。おにーちゃんたちが入ってない間にバリバリ強くなっちゃったもんねー。んで、これあげるわ二人共」
ケアがくれたのは少しプラス効果がついているミスリル武器防具だった。
「これは! いいの!?」
「うーん、錬金、これたぶん修正はいるわね。金策として明らかにチートよ。
まぁ、別に違反なことしてないからそのお金で買っといただけ」
どうやら製造系スキルで錬金だけは高効率な金策が存在していて、それを回すだけでそれなりのお金とレベル上げも兼ねてしまうらしい。
ケアもラックも俺らが入ってない間製造系スキル上げに当ててダンジョンへは入らないで待っていてくれたらしい。装備も目標の装備が揃っていた。
製造は金策にはもってこいだ。
「鍛冶は逆にしんどいみたい。やっぱり単純に人数が多いから。
でも、おにーちゃんがそれをやってくれないとダンジョンに長く篭もるのは無理だから頑張ってね。初期の練習用素材も一杯仕入れといたから、暇な時はそれ使っていいわよ」
「なんだかんだ面倒見がいいからのぉケアは」
「何から何までありがとう」
「就職祝いってとこね」
ちょっと照れてるケアさん可愛いっす。
「さーて、装備も揃ったし、今日からは11階層に行くわよー」
ケア姉さんの号令でダンジョンへと出発する。完全リーダーだこれ。
10階層まではまっすぐに階段を目指し、消耗を避けて進んでいく。
「装備が変わると、こんなに変わるんだねー」
「ホントに……ケアさ、ちゃん。ありがとう本当に」
「もっと崇めてもいいのよぉー」
「珍しく真面目に金策しとるんだから面倒見がいいのう」
「ちょっとラック、余計なこと言わないで」
ツンデレキャラなんですねねーさんは。
「さて、それじゃぁ楽しんでいきましょう!」
とうとう11階層に到達する。洞窟内の壁面が少し濃い色に変化して深い階層に来たんだという雰囲気を作り出している。
「オーガ、一匹ね。仕掛けるわよー」
ケアの号令でラックとミーナが遠距離攻撃を準備する。
オーガ、大鬼のような見た目、自分たちよりも大きな魔物も珍しい。
迫力がすごい。
「GO!!」
「ダブルキャスト! ファイアーボール!」
「ダブルショット! コンボ・ショット!」
遠距離攻撃が放たれたら俺は前線に飛び込んでいく。
「ガードアップ。プッシュガード」
正直ちょっと怖い、落ち着かせるようにつぶやくようにスキルを使っていく。
オーガがドスドスと向かってくる。
手に持つ棍棒を乱暴に振り下ろしてくる。
ガードの体勢は崩さないように真正面からは受けないように避ける。
ゴスン
おや? 避けられたぞ?
今までの感じだとこんな動き出来なかったけど……
「あ、そっかリュウヤおにーちゃん。動ける自由度大分上がっているから避けやすくなってるわよ」
そっか、アップデートあった。
オーガは振り下ろしとなぎ払いの二通りがメインの攻撃で、正直テレフォンで避けるのは難しくない。
迫りくる棍棒をまるで華麗に避けているみたいで、これ、ちょっと気持ちいい。
たまに盾で受けるとガツンと重い攻撃が手に伝わり、それがまた戦闘の臨場感を増している。
俺もチクチク攻撃して、後衛はバシバシと攻撃を繰り返してくれる。
オーガはラックの魔法を食らい、ついに膝をつき煙のように消えていった。
「……すげぇ! 戦っている感が物凄く上がっている!」
「うん! 弓を放った感触とかがちょっとあって、これ、気持ちいいね!」
「少し時間は掛かるが、なんとか11階層も大丈夫そうじゃの」
「3体くるときつそうね。おにーちゃん達気をつけてね」
変化した戦闘に俺は興奮していた。
その後も何体も戦闘を重ねて行く、大型魔物も多くなって戦闘自体の迫力も凄い。
気がつくと規定時間まで1時間。
あっという間に時間が過ぎていた。
「消耗もあるし、街に戻りましょうー」
「11階層に下りた所に1階に送る転送鏡があるからのぉ」
「あー、楽しかったー時間があっという間に過ぎてく!」
「レベルもかなり上がったね。アイテムも多いし! これは楽しい!」
ゲームに対する熱も再燃した。
それでもリアルの都合で基本的には夜だけのプレイになるが、それでもゲームの中もどんどん楽しくなっていくのであった。
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