第7話 おつかい
「ここで『採取』っと」
俺はごそごそと草むらを漁っている。
頭上のゲージが満タンになると……
『癒やし草』を2本手に入れた。
「収納」
コマンドで今手に入れた道具を
ライム村からすぐの森の入口で採取ポイントを探して歩いている。
周りにも同じ目的の人がウロウロしている。
どうやら個人でポイントが異なって共有ではないので特に争いは起こらない。
むしろ近いところにポイントがあるので、ゴソゴソやっている人の周囲をみるとポイントが見つかる。
『癒やし草』を1本手に入れた。
「よし、これで10本だ。クエスト完了。次は西の丘で『固い殻』を10個に行くか」
Gクラスのクエストは基本採取だ。
魔物も危険な動物も出ない範囲で行える。
というか、武器も持たずに来ている。
素手でも殴れるらしい。うっかり奥にはいった初心者のお仲間がネコくらいの大きさのネズミと殴り合っていた。
がんばれーと応援するとサムズアップで答えてくれた。
こういう交流もMMORPGならではだ。
戦闘に関しては横殴りは出来ない。戦闘参加要請をして受け入れられると殴れるようになる。
救援要請も周囲のプレイヤーに出せる。
プレイヤー同士はなるべく円満にプレイできるように細かなところまで気を配っているのが細部から伝わってくる。
まだ出来ないが、討伐系のクエストになれば目を血走らせたプレイヤーがギスギスした空気でモンスターを取り合うなんてゲームはやりたくないからな。
幾つかの採取クエストで報酬をもらいポイントを貯めるとすぐにG-1ランクに上がった。
お金も1100z《ゼニ》手に入れた。
クエスト経験値でレベルも2に上がった。
「うー、これはハマりますな……」
レベルアップ時の小気味良いファンファーレや、納品時の気持ちのいいガチャン音など、このゲーム。わかってる。
ステータスシステムは思ったよりもあっさりしていた。
体力
俊敏 攻撃スピード、回避能力、行動速度などに影響
器用さ 攻撃精度、行動精度、詠唱速度、生産系などに影響
知恵
運 様々なことに影響
ヒントを見るとこのように書かれている。
とりあえず最初のレベルアップで手に入れた2ポイントを力と体力に振り分ける。
この振り分けは大きな街の神殿で特定のアイテムを使用してリセット、振り直しも可能だそうだ。ギルドのおねーさんから教わった。
「はやくレベル5にして職業に着きたいなぁ……」
そして、職業もある。
これはもう凄まじい種類があって、5レベルになれば基本職の剣士、魔法使い、僧侶、義賊、弓使い、細工師を選べる。
そこからレベルと職業レベルの組み合わせで幾つもの職業に派生していく。
一つの職業を極めるもよし、色々な職を広く浅く楽しんでもいい。
デメリット無く一度着いた職業になれるので、本当にプレイヤー次第に自由にジョブロールプレイを楽しめる。
こうして、クエストの納品をせっせと行ってレベル3になった頃、非常なアラームがなる。
「あーーー、仕方ない。今日はここまでだな……」
ログアウトしようとコンソールを開くとピロンとメッセージ受信音がなる。
「あ、ミーナさんからだ……はは、楽しんでるな。
こっちはやっと3ですが、今日はここまでです。また明日。っと」
ミーナさんは今から開始のようだった。
俺は短く返信をしてログアウトする。
「はーーーーーーー、楽しかった」
ベッドに横になって今日一日のことを思い返しているうちに俺は眠りについていた。
こんなに深く、ぐっすりと眠りについたのは、本当に久しぶりだった。
俺の一日目はこうして終わる。
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