ゲーム説明
結局、あまりにもいろんなことがありすぎて授業に集中できなかった。
ああだ、こうだ考えているうちに気がつけば4時間目の終礼が鳴った。
「起立、気をつけ、礼。」
とクラス委員が号令をかける。
「さて、視聴覚室に行くか」
と、おもったものの行く気がおきない。
それよりも、机の冷たさを感じていたい。
「ナオ、視聴覚室に行こう」
聞き覚えのある抑揚のない声がする。
声のする方を見ると案の定、ミオがとなりの席に座っていた。
「なんで、授業が終わったばっかりで隣の席にいるんだよ」
「わたし、このクラスだし。席もとなり、朝のホームルームでも同じ話した」
そうだったか、そう言われるとそんな気もする。
「それよりも、視聴覚室にいこー」
「おー」
めんどくさい。
…
視聴覚室には朝に話しかけてきた上級生と俺たちを含めた十人がいた。
その上級生を除けば全員が一年生だった。その中には有里花もいた。
「みんな、突然呼び出して申し訳ない。僕は二年生の
「すいません。その前に発言させていただいてもよろしいでしょうか」
一人の学生が手を挙げる。
中学の時に生徒会長をしていた村瀬一だ。
入学式の時に新入生代表挨拶をしていたほど頭がいい。
高瀬さんは「どうぞ」と言って発言をうながした。
「それは、昨夜見た”夢“と関係しているのでしょうか。それと、もし夢ではないのなら昨日の赤髪の女性はいったい誰なのでしょうか」
「ああ、そうか。君たちはあれを夢だと思っているのか。まあ、突然あんなことが起きればそう思うよな。あれは夢じゃないよ、れっきとしたゲームの開会宣言だ。赤髪の女性はゲームマスターで要は運営の人だと思ってくれればいい」
夢?赤髪の女性?なんのことだ。
「ナオも会ってる、ゲームマスターに」
「お前、いきなり話し始めるなよ」
「ほら、こういわれたはずだよ。『青春は己との闘いである。己をかけて戦え』って」
おれの話は無視かよ。
青春は己との闘いである。
この言葉を聞いた瞬間に鮮明に思い出した。
「でっ、気がついたら。朝になってお前がいたってことか」
「うん、そういうことー」
相変わらず抑揚がない。
「つまリ、お前も裏の人格の一人ということか。でも、裏人格の性別が変わるなんてあるのか」
「知らないよ。ただ、私がここにいるということは水戸ナオという人間の裏の人格が女性だったということじゃないかなー」
そういうものだろうか、普通に考えれば男性は男性、女性は女性だ。もちろん中性の人もいるだろうけど、それでも身体的に変わることはないはずだ。
それに、なぜ彼女は水戸ナオではなく水戸ミオと名乗っているのだろう。
「すぐに勝負しなくていいから、ゆっくり考えよー。じゃあ、話が終わったら起こしてー」
そういうと、ミオは床に突っ伏した。
ミオが眠ることを決めて寝るのを見届けてから前を向くと話が進んでいたようで次の話に進もうとしていた。
「他に質問はないか……ないならゲーム説明に入らせてもらう。いまから、プリントを配るから読んでくれ」
そういうと、高瀬さんはプリントを配り始めた。
プリントにはこう書かれていた。
リバーシ・ゲーム
このゲームは自分とは何かを考えるために用意されたゲームです。
そのゲームプレイヤーにあなた達8人は選ばれました。
おめでとうございます。
さっそくではございますが健全なゲーム運営のために下記のルールを守ってください。
わからないことがあれば、監督役である
こちらで検討し改善させていただきます。
ルール
以下のルールはイベントを除いて効力を持ちます。
一、表と裏の自分とのみ勝負すること(ただし、二組合意の場合はその限りではない)
一、勝負のルールは各自が決めること
一、勝負のルールが決まり次第監督役に報告すること
一、敗者は勝者に吸収される
一、開催期間は一年間 来年の三月まで
一、一年を超えてもゲームの歴代参加者としてイベントに参加すること(ただし、これから三年間のみ有効とします)
一、与えられた異能はそれぞれ違い自由に使用できる(ただし、ゲームに関係なく一生使えます)
禁則事項
・ゲームから離脱するための自殺
・ゲームプレイヤー以外の生物に対する倫理違反行為
・終了時間が一年を超える勝負
倫理違反について
倫理違反の基準についてはゲームプレイヤーがプレイヤー以外の一般人に対して、現日本国憲法、および現在施行中である法律を違反する行為をさします。また、異能による合意は合意とはみなさず当局による制裁を行います。
以上のルールをよく守り、楽しいゲーム運営にご協力お願いします。
「では、各自そのプリントをよく読んでおくように。あと、水戸ナオ君ちょっといいかな」
そういうと、高瀬さんは教室をあとにした。おれも、その後を追いかける。
廊下を出てすぐのところに高瀬さんはいた。
「悪いね。いきなり呼び出したりして。なんせ、君が裏の人格と出会うのが一番早かったからどうなったか確認がとりたくて」
なるほど、そういうことか。
「もう一人の君はなんて?」
「今のところは静観するみたいです」
「そうか、また決まり次第報告してよ。二人の合意があれば途中変更も可能だから」
そういうと、足早に去ってしまった。
ミオのことは聞けなかったけどそれはまた今度でいいか。今は、話が終わったしミオを起こして教室に戻らないと。
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