夢変化奇譚

夢を本当にする少女

彼女は人々の夢のなかを渡り歩く

彼女は『夢を叶えるもの』

彼女の役目は人々の夢のなかを渡り歩き、彼女がこの人の夢を叶えたいと思った夢を正夢にすること

彼女はいつも通り人々の夢のなかを渡り歩いていた

そしてふと、ある子供の夢の中に入った

その子供の夢は今抱えている病気が治り、元気になること

彼女はふと微笑んで、いった

「貴方の夢を叶えましょう」

彼女はいつも持ち歩いているステッキを振ると、その子供の夢は叶い、その子供から病気は消え去った

「さあ、次は誰の夢を叶えましょうか？」

そう言うと彼女は別の誰かの夢へと入っていった

次に彼女が入り込んだ夢の持ち主は、ミュージシャンになりたい少年の夢

「この夢は正夢にしてもいいものかしら？」

彼女は悩んだ

彼女は夢を叶える力と未来を視る力があった

その少年の未来はミュージシャンになったそのあと事故死する未来

「残念だけれど、この子の夢は叶えられないわね」

そう言うと彼女はふっと別の人の夢へといった

彼女はたくさんの人の夢を渡り歩く

その中から叶える夢を選び、そして再び夢を渡り歩く

彼女の名前は『夢』

夢を叶える妖精