そうだん屋

港龍香

プロローグ「始まり」

私が八歳のとき 私はお母様に捨てられた

寒い雪の中 ものすごい田舎の歩道の真ん中で

いなくなったとき難しい話をしているのかと思っていた

でも1時間たっても2時間たってもやってこない

そのとき私は 捨てられたと解ってしまった

寒い雪の中 田舎の歩道の真ん中で私はお母様に捨てられた

私は泣いた 悲しみで泣いた ここで死んでしまうかと泣いた


「あら?どうしたの?」


「なんや?こんなちーさい子がこんなところにおるんや?」


二つの声が聞こえた 私は顔を上げた そこには女の人と足の無い男の人がいた


「ぐすっ・・・」


「あらあらこんな寒いときにそんな春秋みたいな格好して・・」


「雪が少ないところにいたんやろか?」


女の人はいつのまにか私の頭に積もっていた雪を降ろしてくれた


「ぐすっ・・・お・・かあ・・・さまぁ・・・」


「お母様?あなたお母さんはどうしたの?」


「すて・・られ・・たのぉ・・・」


「ほんまか!ひどい世の中やな!」


と男の人が私の頭に触ろうとした だけどその手は私の頭には乗らなかった否触られた感触が無かった


「忘れとったわ・・・いまだに生前の記憶が抜けないやなぁ・・・」


「その体になってもう100年にもなるんだからいい加減なれなさいよばか幽霊」


「ひゃ・・くねん・・?ゆう・・れ・・い?」


「あら?聞こえていた?耳はいいのねってこんな近距離じゃ聞こえるか」


「バカっていったほうがバカなんやて」


「うるさい」


「ふふっ」


私は笑った そういえば私のクラスメイトもそんなことを言っていた


「・・・もしかして 後ろにいる足の無い男の人見える?」


「・・?うん 何かの芸かと・・」


「天然やなー 普通なら見た瞬間驚くやろ」


「・・・霊感あるんだ・・他にも見えたことある?」


と聞いてきた 私はこういった


「いままでで10人くらい・・・・」


「驚きはしなかったの?」


「五人目までは驚いたけど・・でもなにかの芸だって思ってたから・・・しだいに慣れてきた」


「ふむふむ 不自由になったことは無いやな」


「?うん」


何を言っているか解らなかった 10人と言ってもだいたいだ中には人に取り付いてたものもいたし 動物もいた

急に天候が変わって少しふぶいてきた


「うー・・さむさむ ここで話してたら私までも死んじゃう とりあえず家に帰りましょ」


「そやな」


「・・・・・」


「どうしたの?あなたも来るのよ?」


「え?」


私は驚いた そのときの私にとっては驚いたことなのだ見知らぬ私を助けてくれるそんなひといないと思っていたから


「私は今月で卒業だし 高校には出ないしなぁ・・」


「面接受かったからあの男がいなくなって中断していたそうだん屋始められるわ」


「よし!決めた」


「な・・何?」


女の人はいった 私の家へ住まないかと


「収入的には二人分ちょうどだしね 給食費とか高校のも含めても大丈夫でしょ!」


「たくさん依頼来たら 結構な豪勢な生活できるしなぁ!」

と二人ともはしゃいでいた 


「私は 夏宮 春実(なつみや はるみ)!」


「わいは有沢(ありさわ)や!」


「あなたの名前は?」


私はこう答えた


「せ・・・雪奈っていうの」


私はそのままお母さんの養子になった

あの家の雪奈は寒い雪の中 田舎の歩道の真ん中でいなくなった

代わりにそこにいたのは 夏宮 春実の子供 夏宮 雪奈(なつみや せつな)がいたのだ

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