家出したら異世界で御厄介になる事になりました

Joker

第1話 序章

 皇国歴199年、ファリネオス皇国は未知の存在の攻撃を受け、建国以来の危機を迎えていた。


「やはり、伝承の通りに勇者を召還すべきです!」


 国の大臣の一人が、国王であるラルド・ファリネオスに必死に訴える。事は一刻を争う状況。王は最後の判断を迫られていた。


「成功するか分からぬのだぞ、それに召還術を使える術者など、この国に居るかすらも...」


「陛下、私にお任せください」


 悩む国王の前に、一人の少女が名乗りを上げた。


「そなたに、召還術が使えると申すのか?」


「はい、国王に救われたこの恩を今お返しします!」


 王は名乗りを上げた少女の真っすぐな瞳を見据える。決断を迫られているこの状況に、この少女の申し出は願ってもいないものだった。しかし、召還術にはかなりのリスクがある。この危機的状況で、この国の命運をこの少女に託して良いものかと、国王は悩んだ。


「陛下!私はこの命に代えても召還術を成功させると約束します!ですから...」


「クリミリア!!」


 少女の言葉に、つい国王は大声を上げてしまった。その声に少女は驚き思わず伏せていた顔を上げ、国王の顔を見る。

 国王は悲し気な表情で少女を見ていた。


「失敗は許そう、しかし!命を落とす事はこの第9国王ラルド・ファリネオスが許さぬ!!」


 国王の熱の入った言葉に、少女の胸は熱くなった。


「もったいなきお言葉」


「頼む、召還術を実行してくれ」


「はっ!」


 国王は覚悟を決めた。リスクは大きいが、希望の持てる召還術を実行に踏み切った。この国を守るために、国王は戦う決意を固めたのだ。

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