第一章 出会い

「おっいらっしゃい、久しぶり」

ドアを開けて店に入ると、中性的でありながらどこか男の色気を感じさせる声に出迎えられた。

声の主は月に数回ほどくるバーのマスターだ。

席に着こうと上着を脱ぎはじめたそのとき初めて店内にいるのがマスター一人じゃないことに気がついた。

それが彼女との出会いだった。

闇に溶けるような漆黒のドレスを纏い、ドレスとは正反対な白い肌を晒す彼女はつまらなそうにお酒の入ったグラスを見つめていた。

そんな彼女に見惚れてるとマスターに「突っ立てないで席に着きな」と言われ我に返った僕は脱いだ上着を彼女の二つ右の席に掛けそのまた右の席に着こうとして思い直し彼女に声をかけ隣に座ることにした。

「きゃっ、きゃなぁいシット……ええっと」

「ふふ、どうぞ、それと日本語で大丈夫よ」

そう言って笑った彼女はさっきまでとは違いとても可愛らしくて、魅惑的でもっと彼女のいろんな顔を見てみたいと思った。


つまり僕は恋に落ちたのであった。

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