永遠に好きな男

大好きな元カレが、久しぶりに「元カノ」に連絡をしたらしい。

その元カノは誰もが知っているような大手外資系金融に勤めていて、すでに結婚していて妊娠中だった。

現在夫より稼いでいるらしいその女性は元カレと同世代で、7年前元カレと1年付き合ったのち、結婚したいからあなたじゃ駄目と言って彼を振った。


行きたい名店があって、そこに付き合ってくれる女性を考えたときに、その元カノを思い出したと元カレは言った。

「ザオラルだね」

私は軽い調子で笑った。

元カノが大手外資系金融に勤める前に働いていた銀行は、今の私の職場だ。ただ同時期に在籍はしていないし、元カノの名前を知らないから、嫉妬している相手の顔は具体的に思い浮かべられない。


元カレのことを今でもまだ好きだ。だけど元カレにとって私は、あまたいる「元カノ」の中のone of themでしかない。

私はもう二度と「今カノ」にはなれない。だからせめて「元カノ」の中では唯一無二になりたいと思っていたのに。


私たちがまだ付き合ってたとき、元カレは「元カノとは別れたら会わないタイプ」だと言っていた。それが本当ではないことを今知ったところで、私はすでに彼と別れているから、責める資格はない。

そしてだからこそ私もまた「元カノ」として彼に会えている。


元カノは妊娠中でナマモノが食べられない。だから今回の名店は行けないと言われたが、また近々会いたいねと話していたという。

元カレの立場になってもなお、元カノから需要がある男。罪深く、魅力的な男。


私も来月結婚するが、いつまでも元カレが好きなままなのだろう。

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