結婚も子供も
中学校の同窓会に行った。
話題になるのは誰が結婚したとか誰の子供が産まれたとか、そんな話ばかり。
地元では、誰が稼いでいるかとか誰がいい会社に勤めているかなんてどうでもいい、小さくて閉ざされた温かい世界がそこにある。
あんなに頑張っていい大学に入り、血反吐を吐きながら年収を維持しているのに、ただひとつ、私の印象は”誰にも選ばれなかった女”。
私は一刻も早く結婚したい。結婚しているという身分を手に入れて安心したい。
結婚したいという女は愚かしいと思っていた。でも今は、結婚しないなら別れる、と言える女が羨ましい。私はそれを口にして選んでもらえる自信がない。
子供が欲しい。子供を育てたい。仕事はできるけど子供はいないしね、と言われるのが嫌だ。子供を自己実現の目的にしてはいけないことは知っている、だけど子供が欲しい。
同窓会に行くたび、ここは自分のいる場所ではないと思いつつも、結婚して子供ができれば、私はここでも安心できると思ってしまう。
でも誰も、誰も私を選ばない。
出産予定日に母親が35歳以上となる場合、事前に母体血胎児染色体検査を受けられるという。
どこかで読んだ記事が頭にこびりついて、酔っ払うたびに思う。
子供は2人欲しいから、32歳までには初産が望ましい。だからやっぱり、決断は30歳までにしなくてはいけないのだ。
好きな人がいる。ずっと一緒にいたいと思う。だけどその人は私との子供はおろか、結婚すら考えてはいない。
「結婚したくなったら、君とは別れるから大丈夫。これは私の問題で、君と私の問題ではない」
過去にそう言ったときの彼の顔を今でもよく思い出す。ホッとした表情だった。
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