結婚について

私はいつか自分の弱さに押し潰されて、結婚する。

結婚が何の付加価値も意義もないことを頭では理解しているけど、

それでも”可哀想”だと思われたくないから結婚する。


女上司が、他のマネージャーから陰で言われているのを知っている。

「俺らより給料高いけど、人生楽しいのかね。ずっと独身で」

「出世するのはいいことだけど、結婚はちゃんとしておいたほうがいいぞ」

男性の未婚者は、独身貴族で羨ましい、と言われるのに。


社会圧力のために結婚するのかと君は言う。

そんなの気にしなければいいと。


でも私は弱いのだ。

不条理で男尊女卑的な社会に対して冷めた目で見下すこともできない。

そんなことどうでもいいじゃないと飄々としてられない。

だから近い将来結婚する。


未婚であることに耐えられなくなったとき、

きっとそれでも私は結婚を考えて欲しいと君に言うことはできない。

無駄にプライドの高い女だから、君が能動的に結婚したいと言わない限り、自分からは言い出せない。

だから、結婚への強迫観念に押し潰されそうになったら君の隣を去ると思う。そして、次に付き合った人と割とすぐに結婚するだろう。


お願いどうか、私が君の隣を去る前に、結婚してと言って。

勝手なこと言うけど、妥協でも何でもいいから言って。


でも、一人で生きることに抵抗も不安も無い君は、結婚なんて無意味だと言う。



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