新しい道を夢みて

りゅうや

第1話真っ赤な髪の女

 ピッ、ピッ、プッ、暗闇の中から聞こえてくる機械音。

俺の名前は暁 魁人、高2だ。なんて誰に名乗っている場合ではない。今…今俺はとても重大な選択を強いられている。そー、今俺は…ギャルゲのヒロインたちから告白されたからだ。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ、一体俺は誰を選べば良いんだぁぁぁぁぁぁぁ」

俺はいわゆるオタクと言うやつである。


 「…きて…」、「お…きて…と」、うぅ、「起きててっば魁人」、目を開ける目の前には、隣に住む幼馴染の柊 夢が立っていた。「おはようユメ」と挨拶するが、「早くしないと遅刻するよ」俺はゆっくりと起き上がり、登校の準備をする。

しかし、退屈な学校へ行くのが嫌でつい「学校だりー」と呟くと、ドア越しから

「もーそんなこと言わないで早く支度して」と言われたので、はいはいと答えたが、本当に嫌なのはどうしようもなかった。しかし、行かなくてはならないので俺は学校へ行った。いつもと変わらない平凡なぼっちを満喫している(べ、別に悲しくなんてねーからな)。休み時間は、本を読んで過ごしている。もちろん主人公がハーレムになる話だ。「(俺もハーレムになりてー)」なんてな。そんな感じで退屈な学校は終わりを告げるチャイムがなった。しかし、帰りに一人で帰るのはその…まぁ、とりあえず時間を少しずらして帰ることにした。

ま、いつものことなんだけどな。何分かたったと思われる。そろそろ帰ることにした。階段を下りていると、前方に人影が写った。人影の正体は、わが校の生徒会長の十六夜 栞奈さんだ。通り過ぎ去ったさい、彼女からとても良い香りが漂って来た。(相変わらず、綺麗な人だな)などと思いながら俺は学校を出た。

少し歩いたところで雨が降り出してきた。俺は持っていた傘をさして、再び歩き始めた。また少し行くと女の子がいた。その子はうちの高校の制服を着ていた。どうやら傘がないらしい。俺はその子に近づき無言で傘を渡した。女の子が傘を受け取ったのを確認して、俺は家まで走った。

ようやく家に着くと思いながら家へ向かうと、家の前に誰かが立っていた。近づいて行くうちにそれが女の人だと気づく。その女は傘もささずに立っている。女がゆっくりとこちらを振り返った。

(すげー綺麗な人、それに真っ赤な髪が妙に大きな瞳に合っていて幻想的だな)な

どと思いながら下へ目をやると、ギョッとした。なんと、雨のせいでシャツが透けて肌が見えている。(胸もでけー)と思いながらも俺はやばいと思い視線を反らした。が、何故か腹の辺りが急に痛いと思ったら、俺はその場に倒れてしまった。(なんだ、体が…うご…かない)俺はさっきの女に助けを求めようと目だけで女の方を見て俺は目を疑った。その女はこちらを見ながら何かを言っているようだが意識が遠のいていった。意識が消える寸前その女の手には血の付いた小刀のような物が見えた気がした。

血が雨で流されていくなか、女はどこかへと歩いていった。

                     

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