仮装戦記 ガミ

@59635963

第1話 震える「綿毛」

緑の山間を緩やかに下る小川がある。

遠く海へと続くその流れの途中、高校生たちのハツラツとした声の響く校庭の裏を横切るところ‥

暖かな陽光と吹き抜ける春風が水面を撫でるそこに、黒い「綿毛」があった。

黒いというより暗いというべきか、猫くらいの大きさの「綿毛」としか形容しがたい異物である。

「綿毛」は春風に煽られながらも、小刻みに震えながら、まるで意志を持つようにゆっくりだが着実に校庭側の川っぷちに流れていく。いや、プルプルしながら、その毛先で、まるでほうきで床を掃くように水面を滑っているのであった。

間もなく目指す校庭側の川っぷちにたどり着こうとしたその瞬間に、だが、「バシャッッ!!」という音とともに「綿毛」は敢え無く吹っ飛ばされた!!

対岸方向に吹っ飛ばされながら、「綿毛」が校庭の方向を見上げる?と、そこには右足でキックを放った姿勢の、白い体操服姿の女子がいた。

「なんなの?!キモッ!!」

キッと睨みつけた短めの髪の女子は、ホントに不快感を浮かべた表情で、震える「綿毛」にヒットさせた運動靴の先を地面にこすりつけ、付いているかもしれない汚物を落とそうとしていた。


「綿毛」は‥


・見つかってしまっては元も子もない。いったん、山の方に逃げる。


・「ニヤリ」と笑って?女子に話しかける。

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