第29話 気をつけよう(短編編)

 誰かに読まれても良いように書きますが、

 あくまでも私一人の感想で、備忘録的な目的で書いてます。




 この三ヶ月、いろんな方の作品をそれなりの数読んで、私なりに面白いと何故感じるのか? (逆に何故面白く感じないのか? )を、読後に考えてきた。


 WEB小説の特性として、読者に見切られたらそこから続きは読んで貰えないというものがある。もちろん書籍でも途中で読まれなくなるということはあるだろう。だが、所持されていれば再び手に取って読まれることはある。しかし、WEB小説の場合は、何かのきっかけで話題になり、それを目にして再読してみようという気にでもならない限り、存在も忘れられ読まれないと考えた方が良いだろう。


 ということで、読者に見切られにくい作品を作りたいので、私が読み続けられた理由、読み続けられなかった理由を考えてきた。


 短編の場合、大きく分けて二種類があった。(ここでは、ショートや掌編も含めて二万字以内を短編とする)

 ・長編ならば一行~数行で描写が終わる可能性ある……ある一瞬を切り取って一千字~三千字程度にまとめた作品。または、数百~千字程度の場面をいくつか綴ってストーリー性をもたせて二万字以内にまとめた作品。連作短編もこれに入れる。


 (例)「彼女に出会った瞬間、僕は衝撃を受けた。」や「桜が散りゆく様子に忘れていた感傷的な経験を思い出した。」などの記述を、もっと具体的に、抽象的表現も使って読者へ伝える作品。心情描写がメインになりがち。


 ・逆に、丁寧に描写したら三万字程度まで膨らむ可能性ある……一つのストーリー……起承転結ある内容を二万字程度以内にまでまとめた作品。上手な作品では五千字程度で表現されていた。


 分類とかよく判らんし、実はあまり気にしていない。

 だが、自分が読んで、この二種類に分けられると感じたかな。


 前者の場合、情景と心情の描写がこれでもかと盛り込まれている作品が多く、この手の作品では語彙力の豊富さが問われていた。五感で感じたことを丁寧に上手に盛り込んでいる作品も多く、いわゆるハズレは少なかったように思う。そして読了できなかった作品もほとんどなかったとも思う。

 

 後者の場合は、本来数行で描写していた内容を、一言ひとことから一文で表現する語彙力のセンスが問われていた。

 こちらは、当たりハズレが多く、作者さんのセンスや努力がモロに出るように感じた。


 二万字以内の作品など、二十分もあれば読了してしまう。

 労力などさほど必要ない。


 勉強しようと、極力読み切ろうと心がけていたのだが、たったそれだけの労力を払うのも辛い作品があった。

 これは長編でも同じケース(長編だとモロに出る)があるが、冒頭から読んだ段階で、その作品のテーマが見えないケースだった。

 (作者の描写力の差によって「ある程度」は数百字~数千字まで幅はあった。もちろん文体への私の好みも影響しただろう)

 テーマが判らないから、パラグラフ毎の内容もなかなか頭に入ってこない。目が滑るのではない。読んでも想像に繋がらない。


 地の文でも会話でも構わないから、作品のアピールポイントが早い段階で伝わらないと読み続けるのが辛かった。紹介文に書かれていて、作品テーマが頭に入っていても、作品内で伝わってこないとやはり読みづらいのは一緒だった。


 上手な作家さんは、第一か第二パラグラフまでにテーマかアピールポイント(世界観や主人公キャラの性格等)を読者に伝えている。わざわざこの作品の目的はこうだぁなんて明示していないけど伝わってくる。

 ああ、この作品はカップルの様子にキュンキュンして欲しいんだなとか、作品世界で起きるトラブルとその顛末を楽しんで欲しいんだなとか、読者に意識させずに理解させている。


 恋愛モノは意外と判りやすいし伝わりやすい。

 恋愛モノ以外の作品は、これに失敗すると作品の先も判らず読み続けることになる。だが、展開や描写が上手じゃないと数千字の作品でもすぐ飽きて最後まで読まれない。作品の早い段階で読者へ提供すべきかなぁと感じた。できれば自然に。


 この提供部が上手な作品を読むと、創作に必要とされる描写力・表現力というのはこういうものなのだなとシミジミと感心した。


 教訓:冒頭部で、読者(私)を引き込むためには、ただイベントを起こせば良いのではなく、作品テーマ等を伝えないといけない。プロット作るとき気をつけよう。

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