初夏の風

旭川 かまぼこ

梅雨入りした頃

仕事終わりの会社前、

朝から続いた雨が止み、涼しい風が吹いた

雨上がりの"あの香り"がして僕の記憶があの日を呼び起こした。


ウキウキを隠せずに小走りで帰った帰り道

ドキドキを隠せずに早歩きで帰った通学路


駅前のシャッター街を通り過ぎて向かう駅

駅前のシャッター街を通り抜けて向かう家


学校の近くのコンビニで食べる唐揚げ

自宅の近くのコンビニで食べる串焼き


友達と遊びながら渡った交差点

友人とはしゃいで渡った交差点


学校の机に落書きをした授業中

学校で空を眺めて眠った授業中


朝寝坊をして朝食逃した朝

早起きをして宿題をした朝


昨日まではなかった感情

昨日までとは違った感覚


全てが全て特別に思えた一日

全部が全部大切な記憶の一日


今、彼が何をしているのかわからないけれど

未だに"あの香り"がするとあの日を鮮明に

思い出す。私の実家のテレビが告げた

今日の天気は、雨のち晴れ
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

初夏の風 旭川 かまぼこ @Torakama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ