めぐみん「行ってらっしゃい、ゆんゆん」ゆんゆん「またね、めぐみん」
ユウ
プロローグ
「え? あの禁呪が知りたいんですか?」
「はい! その禁呪を使えば私は一生爆裂魔法を撃つことができるのです!」
「でも、あれは……」
「お願いします! こんな事を頼めるのはウィズしかいないんですよ!」
ウィズが困ったように言う。
「めぐみんさん……。そういう問題ではありませんよ。あの禁呪なら確かに一生毎日爆裂魔法を使えると思います。でも、それは辛い人生の始まりでもあるんですよ」
わかっている、あの禁呪を使うという事がどういう事なのか。
たぶん大変かもしれない。
たぶん苦しいのかもしれない。
たぶん泣きたくなる日が来るかもしれない。
たぶん……もしかしたら、後悔する日が来るのかもしれない。
それでも私は------爆裂魔法を一生撃ちたいのだ。
「お願いします! 土下座でも何でもしますから!」
床は汚いので机の上で土下座をしようと準備していると、仮面の男……バニルが現れ、ウィズがバニルに助けを求める。
「バニルさんからも言ってやってください。どんなに大変な事かを」
「よいではないか。そこまで言うのなら、そこの脳みそ爆裂娘に教えてやるといい。才能があればなれるであろうし、なれなければそれまでという事だ」
「なっ」
ウィズが固まってしまった。
まさかバニルが私の味方をするとは思っていなかったのだろう。
そんなウィズをおいて置いて、バニルは真面目な声で私に語り掛けてくる。
「ネタ種族からさえもネタ魔法使いと言われる娘。汝に問う----」
「もうわかりましたから、長いセリフはやめてください。なんでもしますから早く教えてください!」
「……そ、そうか」
「バニルさんバニルさん、珍しいですね。バニルさんが飽きれたような顔をしていますよ」
「我輩を呆れさせる事に関してだけはアクセル随一店主よ、変な事で喜ぶでない」
「え!? バニルさんが私を褒めた!? アクセル随一店主だなんて!?」
と、ウィズが驚きながらも嬉しそうな声で言う。
その反応を見た、バニルが疲れたかのように、
「耳まで遠くなったか初老店主よ……」
「へ、へぇ~。今なんと言いましたか? ちょっと聞き取れませんでしたので」
ゴゴゴゴゴゴゴと背景に文字がでるような強烈な魔力を解き放つウィズ、それを見たバニルは。
「まさか本当に耳が遠くなったとは……。年は取りたくないものだな」
戦争が起きた。
商品を壊さないようにするため、殺人光線やら一点破壊の魔法が飛び交う。
はぁ……、どうしてこうなったのやら。
私はただ禁呪を教えてほしいだけなのに。
仕方ない、ここで油を売っている暇はないし、二人を止める事にしよう。
「めぐみんさん!? なんで爆裂魔法の詠唱をしているんですか!?」
とウィズが私の口を塞いで詠唱の邪魔をしてくる。
私はジタバタ暴れ、ウィズの手を振り払う。
「私はさっき『なんでもするから教えてくれ』と言いました。私は有言実行するタイプです。今から禁呪を教えて貰うために『なんでも』を実行する事にします」
私は別に『教えてくれたらなんでもする』と言ったわけではない。
あくまでも『何かをした後に教えてくれ』と言う意味なだけで。
「っ!?」
私が本気だという事がわかったのか、バニルは呆れた顔を、そしてウィズは青ざめる。
「わかりました! わかりました! 教えますから!」
「ふっ、ようやく観念しましたか。ほら教えてくれるなら、すぐに教えて損はないと思いますよ」
「はぁ……」
ウィズが心底疲れた顔をして。
「では、リッチーになる方法ですが----」
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