不死身の元探偵と花束代わりの地球
@cantokourogi
プロローグ
俺には原因と結果が必要だ。
俺は長く生き過ぎてしまった。
時間の流れは過去から未来に流れていくのが当たり前なのに、俺の身体はもうその因果律から解き放たれて、何も自覚できない。それくらいに俺は長い間、生きてしまったし、感覚が枯れてしまった。
俺は自分自身を時の流れに繋ぎとめておきたい。
この地球でまたあの人が来て、そして再会する、その時に備えて、自分が時間の流れを忘れないようにしたい。
そのために、因果を身体に叩き込むために、俺は文章を書く。文章には文法があって、文法は論理で、数学の式のように抽象的でなく、具体的に展開されていく、時にはそれなりに美しく、時には信じられないほど醜いけれど、時間の流れが確実にある。
そこにはかつての俺がいて、あの街があって、あの人がいて、あの頃の全てを蘇らせられることが出来る。
だから俺は、たった一人の地球で、自分の過去を綴る。
自分の過去と未来を守るために、自分の過去を綴る。
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