僕には天使がみえる

まりる*まりら

第1話

 つまらない。

 つまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらない……


 僕はうんざりしていた。

 毎日のすべてに、だ。


 朝になったら、なぜ起きなければいけない?

 食べたくもない朝食を、なぜ食べなければいけない?

 

 着たくもない、動きにくい制服。

 自転車に乗って電車に乗ったうえに何十分も歩く通学路。

 甲高い女子たちの笑い声。

 人の背中を力いっぱい叩いておいて挨拶だと笑うやつら。


 それに笑い返す僕。


 うんざりだ……


 

 だけど、これが僕の生きている世界だから、僕はここで生きるしかないのだから、せめて最悪なことにだけはならないように、気をつけて行動して、息をするのも慎重に、言葉は少ない方がいい、出すぎず、できすぎず、それが平凡に生きるためのルールだとしたら、これはめっちゃ難易度の高いゲームのようでもあり、それなのに得られる報酬とはなんだ?

 生きていくのはクソゲーだ。

 たったひとつ理解できたことが、そんなくだらないことだったなんて。

 価値が低すぎる。


 安い服。

 安い食べ物。

 どれほどの価値があるかさっぱりわからないコマーシャルを見させられる無料の動画。

 だから安い人生なのも仕方ない。


 僕は諦めた。

 どうせルールを守って生きていくことしかできない。

 高い場所を目指して跳ぶにはスペックが低すぎる。

 最下層まで一直線で落ちるよりは、踏みとどまりながら、少しずつ落ちるほうがいい。

 

 嘘だ。

 落ちたくはない。

 絶対に。

 僕はせめてここで踏みとどまる。


 だからルールは守らなきゃいけない。

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