海外から見た日本

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日本:教育における右傾化

【以下は仏「ル・モンド」紙の記事に基づく翻訳です。元記事のリンク:http://www.lemonde.fr/idees/article/2017/05/11/japon-virage-a-droite-dans-l-education_5126256_3232.html】


帝国軍が開発した銃剣による戦闘技術である「銃剣道」が今後、中学校で教えられる。


5月3日の祝日により、日本は憲法を祝福している。安倍晋三首相は、日本を軍国に戻すために、2020年までに平和主義の憲法を改定することを欲している。それまでの間、1945年の敗戦以来廃止された遺産の復活というより隠微な形で右傾化が遂行される。


中学校で武術の銃剣道が新しい教科に加えられる。剣道に似た「銃剣の道」は、帝国軍が開発した戦闘技術である。学校での回帰は、1930~1940年の軍国主義に結び付けられ、論争を呼び起こしている。政府はまた、明治天皇(1852~1912年)が国民に「状況によっては国に身を捧げる」よう呼びかけた1890年の文書である、「教育勅語」の学習を教育課程内に再導入した。


「槍による戦闘術」(槍術)に基づき、1870~1890年にフランス軍の派遣隊により日本に伝授された銃剣の操作である、銃剣道(当時は「銃剣術」と呼ばれた)は、アメリカの占領により、他の武術と同じく禁止された。日本が1952年に独立を取り戻し次第、復活し、極端に切れ味が鈍った銃の部分の木製のレプリカにより、30,000人の愛好家が現在、銃剣道を行っている。銃剣道連盟の鈴木健副会長によると、「この戦闘術の目的は戦前とは完全に異なる」ということである。


「立派な国」


教育課程内に教育に対する帝国の勅書を再導入することは、最も重大な政治的意味がある。何世代もの人々が、国家主義の絶対的信念の土台である、このテキストを暗記することを強制され、君主の写真の前でそれを暗唱した。敗戦の翌日に、それは国会より廃止された。60年後に、教育勅語は、授業での基礎的な教材集の一部に加わる。


日本を「立派な国」にするよう呼びかけている、稲田朋美防衛大臣によると、勅書は、「日本の道徳を引き上げるのに寄与する、孝心のような普遍的価値観を含んでいる」ということである。日本の近代史の歴史家の辻田真佐憲は、これらの徳が市民の権利を抑制することを目的として、君主のために結集されていたことを思い出させる。


第一次安倍内閣(2006年)の元教育大臣の伊吹文明によると、「戦後の教育を天皇の言葉に基づかせることは、憲法に規定された人民主権と両立しない」という。首相は、学校課程に帝国の勅書を再導入することが重要である点を明確にしておらず、とにかく「極端な個人主義の出現による道徳の低下」を嘆く右派を満足させた。


日本には右派政党はない。右派が(短い「不遇時代」の例外を除き)1955年以来権力の座についている過半数政党の自由民主党の中枢に巣食っており、結社の星雲、および安倍晋三が権力の座について以来、圧力団体と小団体が影響力を増した。この右派の星雲は、すべての悔悟を削除し、軍国主義への逸脱とともに脈絡なく遺産を引っ張り出しながら、国の物語を書き直すことを欲している。

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