第222話 それを教えろと?

 バイト先の休憩室で、ウトウトしていた昼休み。

 通路から声が聴こえてきた。

「いい、桜雪さんに教えてもらうんだよ」

(なんか僕の名前でたな…)

 最近入ってきたパートの男の子、どうにも仕事の覚えが悪く、お姉さま方の評価が芳しくない。

「ちょっと~桜雪さん、あの子に掃除機のコードの巻き方を教えてあげてよ~」

「コード? 巻き方?」

 何の話かと思った。

「あの子、コードをグチャグチャにするの」

「まぁ…構いませんけど…」

「昔いた、アイツもコード巻けなかったのよ」

 辞めたパートの男の事である。

 コードを丸く綺麗に巻けということなのだが…巻けないって…そんな奴いるんかい。


 いや…意外といたわけだが…。

「あっ、そういえば、あの人も巻けないのよ」


(コード巻けない率高すぎないか?)

 一応、清掃業…掃除機はロトの剣みたいなもんだぞ‼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る