第216話 社会は厳しい

 清掃のバイト先に新しい人が入った。

 大人しそうな男だ。

 21歳…調理師の専門学校を出て清掃業のパートに落ち着いたようだ。

 就職難らしい。

 厳しい時代だ。

 21歳で週4日ほどで4時間…それでいいのか?

 そう思うのだが、人の事である、僕が気にする必要はない。

 底辺のサラリーマンが偉そうに言えることなど何も無いのだ。


 僕が出勤しない平日…

「いや、風呂場でウンコした人がいて…それが、あの子の当番の時でね…」

「そうですか…入って1週間でウンコの洗礼とは気の毒なことだ」

 ラブホの清掃業あがりの僕にとっては、割と高い頻度でウンコにあたる。

 一般のホテルでは珍しいこと…でもないんだなコレが…。


 共同の大浴場でウンコするって…かなりのハイリスクなミッションだと思うのだが…バカは、どこでもウンコするのだ。

 部屋でも風呂でも、トイレ以外の場所でウンコする。

 猫以下の人間もいるのだ。


「なんか、あの子、大丈夫かしらね~」

「さぁ?」

「なんか弱そうじゃない?」

「まぁ…ね…」

「家に帰って、お母さんとお婆さんに話したらしいのよ」

「うん…職場としてどう思ったんでしょうね?」

「信じられないって言ってたらしいわよ」


 すぐ辞めちゃうんじゃあないかな~。

 馬鹿客のせいで、メンタル凹む人もいるんですよ、ウンコはトイレで、吐くならトイレで、それくらいできないんだろうか。


 まぁ社会は厳しいってことかな。

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