「あのさ、桜雪ちゃん、自分の部屋に冷蔵庫あるよね？」

『彼女さん』が聞いてきた。

「あるけど、なに？」

「引っ越そうと思ってさ、ちょっとの間、預かって欲しいものがあるんだよ」

「いいけど、冷蔵庫ってなにを預かるの？」

「えだまめ」

「えだまめ？」

　そして僕は枝豆を受け取りに行くことになったのだ。

「コレ、ごめんね、なんか、あのさ他に自分の部屋に冷蔵庫がある人なんて知らなくてさ」

「うん…まぁ…いいんだが」

「賞味期限切れてるけど気にしないで」

　僕が食うわけではないからいいんだが…

「冷蔵庫に入れとけばいいんだね？」

「冷凍庫だよ」

「冷凍枝豆か…じゃあ預かるよ」

「うん、ありがとね」

　引っ越し準備で冷凍枝豆を預かるとは…人生というやつは侮れない。

　家に帰ってビニール袋の中を見ると…

「ホントに枝豆しか入ってねぇな…」

『彼女さん』の食生活が不安である。

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