第170話 二日酔い

 4か月ぶりに髪を切った。

 Lineで美容院へ予約をとってみる。

「14日か15日予約できますか?」

「15日、休みなんですけど、予定無いからいいですよ」


 そんなわけで美容室が休みの日に切ることになった。

「休みなのに悪いね」

「いいんですよ…ただ…昨日、飲み会で…5時まで飲んでました」

「5時間前まで飲んでたんだ…もう、昨日じゃなくて今日…いや、さっきまでだよね」

「大丈夫です…2時間は寝ましたよ…さっきまで吐いてましたけど、2日酔いですね」

「早いけどね…2日酔いまで届いてないね」

(大丈夫なのだろうか…ハサミとか…)


 個人でやってる美容室だから、彼女の子供が遊びに来る。

「駒~」

 アンパ〇マンの駒を僕の隣で回して遊んでいる。

「2人とも見て~回ってる~」

(人見知りしないタイプだな…この子)


「飲み行ってたら、昔の不倫相手に会って…」

「あぁ…訴えられて行方くらました人?」

「そう…生きてたの」

「飲み屋で会ったんだ…その男も訴えられてる割に余裕だね」


 カラーの待ち時間、彼女は席を外した…

(吐いてるか…寝てるな…)

 戻って来る彼女が

 ゴンッ…

「ハムスターのカゴ蹴っちゃった…」

(まだ酔ってるじゃねぇか‼)


 二日酔いでカット、カラー仕上げて、彼女

「会計…カット、カラー…購入で石鹸…シャンプー、トリートメント…12,700円です」

(ん? なんか安いな? 15,000円くらいじゃなかったか?)

「あっ…間違えた…トリートメント…入れ忘れた…もう2,700円です」

(半分、寝てるんじゃねぇか?)


「これから寝ます…おやすみなさい」

「あぁ…休みのところ、ありがとう…ゆっくり休んでください」


 無事、血を見ることなくカット・カラー終了しました。

 今度はちゃんと営業日に行こう。

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