第138話 様々な聖夜

「クリスマスどこにいたと思いますか?」

「ん? ボッチだったんだね」

「まぁ、1人と言えばそうですね…ヒント、公共施設にいました」

「クリスマスに? 図書館とか?」


 知り合いの女の子との会話である。

「図書館、近いです。ヒント、老人と子供が沢山います」

「老人ホーム、ボランティアしてたとか?」

「近いです」

(老人と子供相手にクリスマスにすること…ボランティア以外なにかあるのだろうか…)


「正解です…病院にいました」

「入院してたってこと?」

「してました、扁桃炎です…痛いです」

「僕も小学校の頃、入院したよ…おかゆしか食べれないんだよね」

「おかゆも無理でした、聖歌隊がきてベル振ってました」

「聴いてたんだね」

「はい」

「いや…病院って老人と子供が沢山いるって…まぁいるのかもだけど、怪我人、病人に年齢、無関係だろ…」

「看護婦が沢山いますって、言ったらバレるじゃないですか」

「うん…まぁ…ね」

「割といましたよ、老人と子供」

(まぁ聖歌隊を聴きにでてくるのは、老人と子供だろうな~)

「キミは、なんか、隣のおばあちゃんからミカンとか貰えそうな気がするよ」

「はっ、なんで知ってるんですか? 隣のベッドのおばあちゃんからミカン貰いました」

「うん…なんか解る」

「正面のベッドのおばちゃん、犬のぬいぐるみに話しかけてるんですけど、千羽鶴織ってて、ひとつ貰いましたよ」

「うん、なんか、その鶴、呪われそうだね」

「捨てれないんですよね、そういうの」

(呪われてるじゃないか、呪いの装備か…)


「なんで、おばあちゃんってミカンを持ち歩いてるんだろうね?」

「不思議ですよね」

「不思議だよな~」

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