第134話 火吹きナウ

「タツノオトシゴを捕まえたことがあってね、まぁ翌朝死んでたんだけど」

 髪を切りに行った美容室での会話

「アレ、普通に捕まえられるものなんですか?」

「いたんだから…いるんじゃないの」

「アタシ辰年なんですよ」

「あ~なんか解る…強そうだ」

「龍って昔、いたんですかね?」

「いないよ、アレいたら大変だよ、空にアレ飛んでる世界で東京タワーとか造れないと思うよ」

「羽無いですものね」

「そういう問題でもないんだろうけど…」

「トラと戦うんですよね」

「うん…そうね、トラが強いのか…龍が言うほど強くないのか疑問だけど中国では互角の生き物だからね、龍がいたら大変だよ」

「なんでです?」

「考えてごらん、屋上で一休みしようかなと思ったら、龍が寝てるかもしれないんだよ、ダメダメ、今、龍が寝てるからってなっちゃうよ」

「あ~空にいますからね」

「そうだよ、うっかり降りてきたら、自動車とかに跳ねられて、彼氏、逆鱗に車ぶつけて龍ガチギレとかSNSにあがっちゃうんだよ」

「火吹きナウですね」


 行き付けの美容師はこんな感じなのである。


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