第92話 ダイエット
「ダイエットしなきゃなんですよ」
ホテルのバイトで19歳の女の子が真剣な顔で言う。
「ここで働いてたら痩せると思うんですよね」
確かに忙しい時は汗が止まらないほどの肉体労働ではある。
「ラーメンとか禁止してるんですよ」
「我慢して、我慢して、食べる白いご飯が大好きなんです」
「ん?」
「だから、お腹空いて我慢して、その後に食べる白いご飯が大好きなんです」
「食べるの?」
「食べますよ、タラコとかで」
「タラコ?」
「はい、美味しいですよね~」
「食べたら…ダイエットじゃないんじゃない?」
「でも、我慢してから食べるんですよ」
「いや…食べるんでしょ」
「はい、3食ちゃんと食べます。健康的に痩せたいので」
「3食…あの…食べて痩せようって人は、食べるものに気を使っているんだよ、ご飯とか一番太りそうなんだけど…タラコもさ」
1階の事務所で、そんな話をしていると、5階の部屋が数部屋空いた。
「行こうか」
「はい、じゃあ5階まで移動しますよー」
「なんで僕の隣にいる?」
「え?」
「いや…てっきり階段で行くもんだと思ってたから…ダイエットにさ」
「エレベーター…」
しっかりエレベーターに乗り込む女の子。
「キミ…ダイエット無理だよ、全国の痩せたくて頑張ってる女子に謝れ、基本スタンスが間違っている」
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